天才ヨウム、記憶テストで名門大学の学生を上回る成績を出す(米研究) (3/5ページ)

カラパイア

視覚作業記憶を操作する力は、人間の知的行動を支える基礎の1つなのだそうだ。

 「心の中で行われるあらゆる作業は、視覚作業記憶の中で行われます。外部からの情報を保存し、それをいじったりバラしたりして、より高次の認知に利用する――私たちはそれが人の知性の主要な要素の1つだと考えています」と、Hrag Pailian氏は説明する。

 もし、そうした能力が人間以外の動物にもあるなら、そこから人間の知能がどのようなものなのか理解を深められるはずだ。グリフィンくんはそのための手助けをしていたのだ。

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image by:Harvard University

・人と鳥が持つ操作能力の起源は?

 この研究での発見は、視覚記憶を操作する能力の起源をほのめかしている。グリフィンくんの卓越した力から、それが人間だけのものではない可能性が窺えるのだ。まず人間とヨウムの共通祖先が獲得し、やがてさまざまな種に受け継がれていったのかもしれないということだ。

 人間とヨウムが枝分かれしたのは、3億年以上も前のことだ。その共通祖先は、空を飛ぶ翼竜が現われ、哺乳類の祖先が生まれる前の古生代時代にさかのぼる。

証明はできませんが、可能性としては共通祖先が、何らかの基本的な能力を持っていたのかもしれません(Irene Pepperberg氏)

 中生代の恐竜がこの能力が萌芽し、その後に霊長類と鳥類で並行して進化した――。あるいは別の可能性として、共通祖先がこの力を獲得したのではなく、2つの系統で独自に発達したということも考えられる。

 しかし研究チームの見解では、操作は記憶力に立脚したもので、さまざまな種が似たような記憶力を持っているのだから、視覚記憶の操作を可能にする基本的能力が共通祖先に備わっていた可能性が高いだろうという。
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