揺れる平均功績倍率の適正判断 近年の傾向と注意点を元国税が解説 (1/2ページ)
税務上、役員退職金の適正額は平均功績倍率法で計算するのが通例です。平均功績倍率法は、最終報酬月額、勤続年数、そして平均功績倍率を掛け合わせた金額を適正額とする方法です。ここで問題になるのは、平均功績倍率です。
平均功績倍率とは、同業類似法人の同程度の役員の退職金の支給額から計算される倍率を言いますが、このような倍率がいくらになるか、納税者には分かりません。一昔前は、2・0~3・0程度としておけば原則として問題ないとされていましたが、最近は厳しい判断がなされることも増えています。
■平均功績倍率が1.06?
先日、この平均功績倍率について、衝撃的な判断が出されました。勤続年数34年で創業者の方の役員退職金について、平均功績倍率が1.06という国税の課税処分が合法とされたのです。「功績」倍率であるにもかかわらず、「功績」をほとんど加味しない倍率で非常に驚かされました。
この倍率の算定根拠として、裁判例では、国税が算出した三社の功績倍率の平均と説明されています。この三社の倍率をみると、勤続年数11年の会社の役員(0.65)の倍率が含まれており、さすがに創業者の退職金にその数字を参照するのは無理があると言えます。
■近年の傾向は1~2倍程度か?
しかしながら、このような厳しい判断は近年多くみられます。実際のところ、平成25年の裁判では、平均功績倍率が1.18という数字でした。このため、2~3倍は安全、とは言えなくなっています。
このため、平均功績倍率には慎重な対応が今後必要になるでしょう。どうしても大きな金額を取りたければ、平均功績倍率を操作するのではなく、最終報酬月額を増額させるといった対応を取る必要もあるでしょう。
■最終的には税務調査だが
その一方で、税務調査ではまだ高い割合が認められることもあるようです。裁判では認められないのに、税務調査で認められるのは、税務調査は法律や裁判とは関係ない、交渉などで決まる部分が大きいからです。
実際のところ、悪質なOB税理士は、お得意の現職に対する圧力を利用して、いまだに高い倍率を認めさせることも多いようです。