着物も障子もお雛様も。日本の伝統では右より左が格上の「左方優先」である理由
運転免許をとるとき習いましたよね、「左方優先」。同程度の道幅の信号のない交差点で車が出会ったら、左にいる方が先に通る、というルールです。
これは右方車の方が衝突を回避しやすいからなのですが、実は左が優先される例は他にもあります。
日本の伝統では右より左が格上例えば、舞台では演者から見て左が上手(かみて)、右が下手(しもて)。右大臣より左大臣の方が格上。着物の前のあわせは右前、つまり左の見頃を右の上にかぶせます。
障子やふすまも同様に右前、つまり家人から見て左側が外側にくるようにします。
近代以前、天皇皇后両陛下が並んで御出ましになる場合、つねに皇后陛下は天皇陛下が自分の左になるようにして立たれました。つまり周りの人からすると天皇陛下が向かって右に見えます。
ただし欧米では逆に右が格上なので、国際化が進んだ現在は場合により逆になります。
同様に、伝統を重んじる京都のひな人形はお内裏様がひな壇の左(向かって右)にきますが、関東ではその逆になります。
ではなぜ左が格上なのでしょう。
起源は古代中国京都市内の地図を見て思ったことはありませんか。右が左京区、左が右京区。どうして逆なの?と。これは天皇から見ているから。
京都はなぜ左京区が右側、右京区が左側なの?それは「天子南面す」という考えに基づく古代中国において天子は全天で唯一不動の星である北極星に例えられました。それゆえ天子の宮殿は都の北端に築かれ、その玉座は北極星を背にしておかれます。
これに倣い日本でも天皇のおわす内裏(だいり)は都の北端にあります。内裏に座して南に広がる都を見るとき、天皇の左が東、右が西になります。東は太陽が昇る方角。
この世を明るく照らし、ぬくもりを与え、作物を育ててくれる太陽。それは世界中のあらゆる古代文明において崇拝の対象、神の象徴でした。日本においても天皇は太陽神である天照大神(あまてらすおおみかみ)の子孫とされます。
このように、尊い太陽が天皇の左手から昇るため、左が神聖なものとなったのです。
実は「右」とは「水極」つまり水が「み」な「ぎ」る様子、そして「左」は「火足」つまり「火」が「足り」ている状態、ともされます。中国の思想を借りてくる以前から、日本でもやはり左が火(日・陽)、つまり太陽と関わりが深いことがわかります。
みなさんも尊敬する上司や先輩と並ぶときには、自分の左に立場が上の人がくるよう意識してみてください。
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