怒り狂った老婆が包丁で!福島県に伝わる世にも恐ろしい昔話「三本枝のかみそり狐」【下】 (2/6ページ)
すぐにも術が解けて、カブか何かに戻るじゃろうよ」
人間サマを化かす悪い狐を退治して、すっかり英雄気取りの彦兵衛でしたが、赤子はいつまでも燃え続け、やがて真っ黒こげになって、死んでしまいました。
「……あ、あれ?」
そんなバカな……でも、女の尻には動かぬ証拠が……そう思って尻をまさぐりましたが、尻尾など生えていません。
「きゃあっ!」
彦兵衛が動揺した隙に脱出した女は、その頬ッ面を思い切り張り倒します。そして、自由になった老婆は台所へ駆け込み、包丁を持って戻って来ました。
「よくも……よくもワシの可愛い孫を!」
その目は血走って眦(まなじり)が裂け、こめかみには何本もの青筋が浮き出して、まるで山姥(やまんば)の形相です。
「す、すまん……すまんかった!」
「殺してやる!殺してやる!殺してやる!」
「ひぃっ!」
問答無用とばかり斬りかかってきた老婆の一撃を辛うじて躱した彦兵衛は、転がるように逃げ出したのでした。