怒り狂った老婆が包丁で!福島県に伝わる世にも恐ろしい昔話「三本枝のかみそり狐」【下】 (3/6ページ)
彦兵衛、命からがら寺へ逃げ込む
「ひえぇ、助けてくれぇ!」
「待てぇ……この怨み、晴らさでおくべきか!」
真っ暗な竹やぶの中を必死で逃げる彦兵衛を、老婆はどこまでも執念深く追って来ました。もう随分と走っているはずですが、里には帰りつけるどころか、どんどん奥深くへ迷い込んで行く感じです。
「このままでは追いつかれる……あ、あそこに寺がある!匿(かくも)うてもらおう!」
彦兵衛は山門を駆け抜けて本堂まで転がり込むと、そこには一人の住職がいました。
「……いかがなされたか」
「故あって追われております。どうか……どうか匿うて下され!」
住職はしばし思案した様子でしたが、承知して御本尊の裏に隠れるよう促します。彦兵衛が隠れ終わった次の瞬間、包丁を握りしめた老婆が乱入して来ました。
「住職様!ここへ男が逃げ込んで来ましたろう!」
ガチガチと歯を噛み鳴らし、ざんばらに振り乱した白髪頭、地獄の鬼もかくやと思うほどの形相で住職に詰め寄ります。
「いや……ここには来ておらぬぞ」
「嘘じゃ!ここへ駆け込むのを、確かに見た!」
「まぁまぁ。