交錯する運命と冒険『天風』に込めた作者の思いとは (3/4ページ)
しかし、理京や仲間との出会いによって、生きていいのだと気づかされ、そして宿命の中で精一杯生きるのです。
生まれつき死ぬ宿命にある人などいない。でも何の為に生まれてきたのか、何の為に生きているのかと、自分を責めて塞いでしまう人は少なくないと思う。そんな悩みを抱えている人に、前に進む勇気を与えられたらと思う。
龍子の存在もまた1つのテーマを残している。「龍子が都を支配していなければ、玉を廻って争いが起きていたのではないか」。果たして龍子は悪者だったのか。龍子は自由で謎めいているキャラなので、その真意は分からないが、考えさせられるテーマとなる。
そして、「天は何の為に神子に玉を持たせ地上に降ろしたのか」「玉がもたらしたのは、幸福か災いか」実はこの物語は平和をうたっただけのものではない。
例えば玉が「天災」を表しているのだとすれば、戦いの最後はハッピーエンドで終わっていると言えるだろうか。光が降り注がれた時に斎が放った「決して美しくない」という言葉には、人々をもてあそぶ天への怒りが込められている。
――好きな作家や影響を受けた作家がいましたら教えていただきたいです。
小山:特に影響を受けたのは、子供の頃に見た、宮崎駿さんの作品だと思います。
「ナウシカ」のファンタジーの中に社会問題をリアルに取り入れる発想は素晴らしいものがあり、「トトロ」は宮崎さんの作品の中では日常に近いですが、ただ散歩しているだけでも、ふとした時に夢の世界へ連れて行ってくれそうなワクワク感が好きです。
「魔女の宅急便」では、ヨーロッパに行けなくても、まるでその街の中で生活しているかのような臨場感が味わえ、主人公のキキの成長を描いていますが、当時、同じような悩みを抱えていた私にとって、勇気を与えてくれた作品でした。
「ホームズ」のような、ユーモア溢れる作品も好きでした。そして「コナン」や「ラピュタ」のあの壮大な世界観は、大人になった今でも、いつまでも私の心に残っています。当時、物語が人の心を大きく動かすのだと衝撃を受けました。
自分も、人の心に残るものを作りたい、そんな夢を抱いてマンガ家を目指すようになりました。