歴代総理の胆力<最終回>(1)激動を乗り切った昭和後期総理 (2/2ページ)
もっと言えば、「平和国家」の確立を目指すこの期の過程で、特に吉田茂、池田勇人、佐藤栄作、田中角栄の政権は、国際協調の中で、それぞれ国の舵取り、経済の復興に資する能力、牽引力を発揮したと言えた。
しかし、平成期に入ると、東西ドイツ統一、ソ連の崩壊、中東問題など、世界的な東西冷戦が一応の収束をみたことで、トップリーダーの資質も、それまでとはいささか変容を迫られた。「ポスト冷戦」により、新たな世界の民族問題などのあつれきが発生、そうした地域への「貢献」で、日本も憲法との整合性の問題など、政策へのいわゆる踏み込みいかんが問われるようになった。
また、一方で好調だった経済は「バブル崩壊」を機に低迷期に入り、「リーマン・ショック」の追い打ちを受けながら、令和の期を迎えることになったということである。
また、この平成期で国内政治的に特徴的だったのは、それまでの「55年体制」が崩壊、連立の時代に突入したということだった。伴って、昭和後期のような総理大臣としての強力なリーダーシップは後退した。トップリーダーには、「協調性」がより求められたのである。
しかし、一方で小選挙区制の導入が、国会議員というものの体質を大きく変えた。時の総理大臣は、議員の公認権と政治資金の配分で議員の生殺与奪を握ることになったことで、選挙をやればやるほど政権は強くなり、相対的に政権に媚びる議員が増える形になった。第2次内閣以降、安倍晋三政権に、それが顕著と言えたのである。
こうした政治体制に振り回される形で、野党の伸長は抑えられて弱体化、与党議員の“脆弱ぶり”と併せて、政治家、否政治そのものの「劣化」が問われるようにもなったということだった。
小林吉弥(こばやし・きちや)政治評論家。昭和16年(1941)8月26日、東京都生まれ。永田町取材歴50年を通じて抜群の確度を誇る政局分析や選挙分析には定評がある。田中角栄人物研究の第一人者で、著書多数。