動物の第六感は細菌によってもたらされている可能性(米研究)

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動物の第六感は細菌によってもたらされている可能性(米研究)
動物の第六感は細菌によってもたらされている可能性(米研究)

動物の第六感「磁覚」と細菌の関連性 / Pixabay

 一部の動物には「磁覚」という第六感が備わっていることが知られている。これがある動物は地磁気を感じることができ、それによって自分の居場所を把握する。

 たとえば、渡り鳥はときに数万キロに達する長距離を迷わずに移動できるし、ウミガメも遠く離れた海から産まれ故郷の浜辺に帰ってくることができる。

 こうした動物の驚異的なナビゲーション能力は、この磁覚のおかげだとも考えられている。さてこの磁感だが、どのように獲得しているのかは謎のままだった。

 新たなる研究では、地磁気の影響を受ける特殊な細菌と動物が共生することで得られている可能性が示唆されている。
・なぜ地磁気を感じ取ることができるのか?正体不明の磁覚

 一部の動物に備わっている磁感だが、一部の人間にも備わっている可能性もあるようだ(関連記事)。

 私たちにも備わっているならばぜひとも活用してみたい磁覚だが、じつは具体的にどのように機能しているのか謎に包まれている。

 磁感は「受容体のない感覚」であり、その機能をはたす磁覚器官の構造はおろか、そもそもどれがその器官なのかも特定されていない。

 米セントラル・フロリダ大学の生物学者ロバート・フィタック氏によれば、「感覚生物学の最後のフロンティアの1つ」で、それを突き止めるのは「ワラの中にある針」を探すように難しいのだとか。

渡り鳥
Pixabay

・細菌との共生関係によって生じている可能性

 そこでフィタック氏は、地磁気の影響を受ける特殊な細菌との共生関係によって磁覚が生じるという「共生走磁性細菌仮説」を提唱している。

 その「走磁性細菌」と呼ばれる仲間は、地磁気を浴びると、まるでコンパスの針のようにそれに沿って動き出す。こうした不思議な性質が、動物の体内の中で作用して磁覚が生じるというのだ。

 フィタック氏らが共生走磁性細菌仮説を提唱したのは以前のことだが、『Philosophical Transactions of the Royal Society B』(8月10日付)に掲載された研究ではそれを裏付ける新しい証拠を提示している。

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Pixabay

・様々な動物から走磁性細菌を検出

 フィタック氏氏のグループは、「MG-RAST」という細菌に関する最大級の遺伝子データベースを参照して、過去に動物の体内で走磁性細菌が発見されたことがないか調べてみた。

 するとペンギン、アカウミガメ、コウモリ、タイセイヨウセミクジラなど、様々な動物から走磁性細菌が見つかっていることが明らかになったという。

 たとえばペンギンやアカウミガメなら「Candidatus Magnetobacterium bavaricum」が、コウモリやタイセイヨウセミクジラのような哺乳類なら「Magnetospirillum」や「Magnetococcus」の走磁性細菌が定期的に見つかっているとのこと。

 こうした動物の体内のどこに走磁性細菌が潜んでいるのか不明だが、目や脳のような神経組織と関連していると推測されている。

 好む好まないにかかわらず、動物はもちろん人間も様々な細菌と共生関係にある。そして共生している細菌は人によってそれぞれだ。

 一部磁覚を持った人間も、あるいは特殊な細菌を持っている可能性もあるということか。なかなか興味深い話だ。

Symbiotic magnetic sensing: raising evidence and beyond | Philosophical Transactions of the Royal Society B: Biological Sciences
https://royalsocietypublishing.org/doi/10.1098/rstb.2019.0595
References:phys/ written by hiroching / edited by parumo
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