「3分で250億手を読んだ」藤井聡太二冠を撃破した羽生善治の“青野流戦法” (1/2ページ)

Asagei Biz

羽生善治,藤井聡太
羽生善治,藤井聡太

 史上最年少でタイトルを獲得するや、続けざまに二冠を達成した藤井聡太。「藤井フィーバー」の勢いそのままに三冠目も狙ったが、そこに立ちはだかったのが「かつての天才少年」羽生善治だった。新旧の天才対決は、羽生の大勝利。その裏には準備万端の「虹プロ戦法」があった。

 9月22日に開幕した注目の「第70期王将戦挑戦者決定リーグ戦」。今や勢いが止まらない藤井聡太二冠(18)に、これまで4戦4敗と苦汁を舐めている「元七冠」のレジェンド・羽生善治九段(50)が挑む形となった。古くからの将棋ファンならば、新旧の天才同士の対決であり、将棋界の人気を牽引した世紀の対決に、いつにない興奮を覚えたことだろう。その結果は、戦前の予想を覆す羽生の勝利。まだ世代交代は許さないとばかりに、藤井の前に立ちはだかったのだ。

 激闘の模様を、屋敷伸之九段が解説する。

「トップ棋士同士の対局だけあって、終始難しい将棋でした。後手の羽生さんが『横歩取り』の戦型に誘導したことで、序盤から中盤にかけて激しい展開を見せていました。早い段階で飛車角交換を行った藤井さんが押しているムードで、昼休憩後の35手目には67分の長考の末に筋違いの角を打っていく攻撃的な手を指しましたが、終盤には羽生さんの詰め将棋のような筋に呑み込まれる形となってしまいました。藤井さんが本局で用いた作戦は『青野流』と呼ばれる横歩取り対策で、5八玉と上げて、右の桂馬を跳ねていく指し方で、現在最有力とみられています」

 この「青野流」とは、青野照市九段が考案した「横歩取り」の戦型で使われる戦法。18年には、将棋の斬新な戦法の開発者に贈られる「升田幸三賞」に輝くほど大流行した定跡を放った藤井。いわば最先端の戦法に、羽生はさらに一枚上手をいく作戦で藤井のAI将棋をも粉砕したのだ。

「『横歩取り』は激しい戦型になるので、慎重に指さなければ陣形が空中分解してしまいます。今回の対局では、低い陣形で迎え撃つ『青野流』対策をしっかり講じていたと思います」(屋敷九段)

 あえて羽生が「横歩取り」を選んだのには訳がある。この戦法こそ、藤井が最も苦手とする戦型で、羽生は研究を尽くして、藤井戦に臨んだと言えるのだ。

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