印象派の巨匠クロード・モネが描き続けた最初の妻カミーユの実像とは? (3/4ページ)

新刊JP

松井:幸い、モネについては食べたもののレシピや金銭のやりとりに至るまで詳細な記録が残されているので、常に一緒にいたであろうカミーユの生活もそこから掘り起こしていきました。

調べ始めると、2人の出会いから別れまでがちょうど印象派誕生の軌跡と重なっていました。フランス自体も政治・経済・社会のどれをとっても大変革期。とても興味深い時代です。さらに、2人の周りには、ルノワールやマネを始め日本でも人気の高い多彩な巨匠たちが登場し、2人と深く関わっています。おもしろくて、私自身が夢中になりました。

――物語を書き進める中で、カミーユはどんな女性だと感じましたか?

松井:現代のフランスは、ジェンダーに関して世界で最も先進的な国の1つだと思いますが、カミーユが生きていた150年前はまるっきり違っていました。

例えば、同じフランスで19世紀前半から活躍した画家オノレ・ドーミエの風刺画には、女性が強くなったと嘆く作品が散見されます。女性が夫に向かって言いたいこと言うとか、自分のやりたいことに夢中になって育児が疎かになるとか。つまり、男も女も、そんな作品を観て眉をひそめて笑い合うような時代だったということです。

モネのやりたい放題ぶりを見ていると、やはりカミーユも彼の行動にダメを出したりしなかったんでしょうね。それは、性格でもあったかもしれませんが、時代に規定されていた側面もあります。ただ、次々と困難に見舞われても、彼女は実家に帰ったり、どこかに逃げ込んだりという選択を一切しなかった。そこに、モネに対する一途な思いを感じますし、芯の強さも感じますね。

――貧困時代のモネは、ひたすら己の決めた道を進んでいくというか、いわば「売れないミュージシャン」のようなところがありますよね。

松井:そうですね。ただ、それもまたモネの魅力の一つだと思うんです。彼は一言で言えば仕事人間、自分の好きなことに夢中です。次々と浮かんでくるアイデアを、何が何でも実現しようとする。絵に対してはとても勤勉ですしね。

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