大豆ではない!? 高野秀行が西アフリカで出会った驚きの「納豆」の正体とは (5/5ページ)

新刊JP

――日本にもそうしたエピソードってあるんですか?

高野:納豆誕生伝説というのがありますね。平安時代、源義家が戦の時に馬の背中に煮豆を乗せていたら臭いがしてきたので家来が捨てようとしたところ、「これは食べられるのではないか」と義家が食べてみたら美味しかったという。

そういう話はたくさんありますが、戦に絡んだ話が多いんです。それはまんざら根拠がないわけではなくて、長期戦と納豆は深い関係にあったのだと思います。

――ただ、韓国では海辺でも納豆を食べるという謎が残ってしまいます。そこから高野さんが再取材で韓国に向かい、韓国人と納豆の深い関係に対して推理が働く部分はスリリングでした。

高野:実はすべての醤類の原点は納豆だったというね。僕が興味を持っているのは納豆だけではなくて、納豆についてその地域の人々がどう感じているのかということも知りたいんです。それが、この納豆取材の肝だと思っています。

韓国人のチョングッチャンに対する感情や感覚は、明らかに日本人とは違っていました。もちろん、他のアジアの納豆民族、西アフリカの納豆民族とも。

ところが、その違和感が残ったまま原稿を書こうとしたのですが、書けなかったんです。おそらく自分の中で違和感の正体が腑に落ちていなかったんでしょうね。それなら、もう少し調べようと、しつこく取材をしていったら、韓国人にとって当たり前の「醤類」そのものが、納豆菌をベースにした隠れ納豆食品だということに辿り着いたわけです。

――つまり、韓国料理のベースということですよね。

高野:そうです。納豆なくして韓国料理なしといっても過言ではありません。チゲ鍋に納豆を入れるとさらに美味しくなると言いますが、そのカラクリが分かって快感でした。

(後編に続く)

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