「黄砂がコロナとやってくる!」北朝鮮に“国家存亡”の緊急事態【全文公開】 (2/4ページ)

Asagei Biz

朝鮮半島事情に詳しい東京新聞論説委員の五味洋治氏が解説する。

「実は北朝鮮が最も警戒しているのは、国境地帯を行き来する越境者の存在です。そこで北朝鮮当局は2カ月ほど前から、越境者については『射殺してもかまわない』という異例の通達を国境警備の部隊に命じたほどです。そのやさき、9月22日には韓国の漁船乗組員が北朝鮮の領域に入ったとして海上で射殺・焼却され国際問題に発展しましたが、これもコロナの防疫体制を強化していた北朝鮮側による衝突事件だった。1人でもコロナ患者が流入することを危惧して、水際対策を強化しているんですよ」

 韓国人射殺事件と、今回の黄砂による警戒報道。この点と点を結ぶキーワードが、北朝鮮のコロナ対策にはあった。外信部記者が語る。

「北朝鮮の厳戒ぶりを示すデータとして9月に発表された、世界保健機関(WHO)の報告は驚くべきものでした。7月19日に3年ぶりに韓国から北朝鮮・開城市に海を泳いで戻った元脱北者がいた。この人物から新型コロナウイルスの症状が見られたことで、すぐに隔離。直後の24日には開城市全土を完全封鎖する処置をとったといいます。結果的にこの脱北者は陰性でしたが、濃厚接触者とみられる3635人のほかトータルで4380人を隔離して40日間も封鎖した。最終的にWHOは開城でコロナ患者は発生しなかったと結論づけていますが、開城といえば工業団地でも知られる北朝鮮国内でも有数の製造現場。そこを40日間も封鎖すれば、経済的なダメージは計り知れない。それでも金正恩政権が踏み切ったのは、それほどの危機感があるからにほかなりません」

 なぜそこまで金正恩は、コロナ対策に敏感なのか。北朝鮮情報専門サイト、デイリーNKジャパンの高英起氏が明かす。

「北朝鮮にとってコロナの蔓延は、医療体制が劣悪な中では社会不安につながりかねず、ひいては金正恩体制を揺るがす事態に陥りかねない。過去に北朝鮮はSARSとMERSの流行で経済的にダメージを受けてきたこともあり、ことさらコロナの流行に神経をとがらせているのです」

 しかも今年9月、朝鮮半島には想定外の大型台風が3つも襲来。北朝鮮も甚大な被害を受けている。

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