「黄砂がコロナとやってくる!」北朝鮮に“国家存亡”の緊急事態【全文公開】 (3/4ページ)

Asagei Biz

にもかかわらず、海外からの人道支援を拒絶するなど、コロナ対策を国家の最優先課題にしているだけに、「黄砂によるコロナ危機」は、国内を引き締めるためには「格好のニュース」だったのだ。それだけではない。五味氏によれば、

「金正恩には基礎疾患があるので、人一倍ナーバスになっています。19年に米トランプと板門店で会談している現場をFOXテレビ記者が見ていたのですが、金正恩は異常なまでに『ゼーゼー』と呼吸音をさせていたと。心疾患で以前は海外から医者を呼んでいましたけど、今のコロナの状況では北朝鮮の水準でしか医療を受けられない。となると生命の危機に直結しますから、金正恩の健康問題ひとつとっても、かなりの不安材料に違いありません」

 さらに、これまで自国民に対して閉鎖的だった北朝鮮のニュースもここにきて、大きく変貌を遂げている。ジャーナリストが証言する。

「ここ1、2年で目に見えて北朝鮮の報道姿勢が変わりました。基本的には国営メディアしか存在しない北朝鮮ですが、まるで西側諸国のような報道をするようになりましたね。例えば、9月の台風襲来の時に初めてレポーターによる現場中継が行われた。今までの報道では考えられなかったことで、現場の悲惨な状況もあえて伝えるようになりつつあるんです。また金正恩のイメージ戦略も変化しつつあります。10月10日に行われた党創建75周年軍事パレードで演説をした際には、金正恩が涙ぐむ姿も隠さず国民に伝えました。これは画期的な事態で、国民に隠さないという点では、今のネット時代に合わせたのではないか。今回の黄砂ニュースもあえてネガティブな情報を流し、コロナへの注意を喚起したいという思惑が見え隠れしますね」

 実際、黄砂がゴビ砂漠から1900キロ離れた朝鮮半島にコロナウイルスをもたらす可能性は低いと言われる。だが一方で、同盟国である中国への牽制の狙いもあると、五味氏は指摘するのだ。

「具体的には中国への当てつけですね。そもそもコロナウイルスの発生源は中国ですから。これだけ迷惑を被っているので無償で支援をしてほしいというアピールかもしれません」

 さらには「黄砂によるコロナ襲来」を北朝鮮一流の「瀬戸際外交の一環」だとも五味氏は結論づけている。

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