太宰治の歴史的名著『人間失格』が同調圧力から身を守るヒントになる! (2/3ページ)

新刊JP

お調子者の仮面、おだやかな人の仮面、目立たないように生きるための仮面…。
現代では、誰もが何かしらの仮面をつけて生きていかざるを得ません。そこに罪悪感を持つ必要はなく、大切なのは「自分はどんな仮面をかぶっているのだろうか?」と意識することだと本書では説いています。

■SNSが生み出したモンスター「ニュー世間」とは?

表紙

「恥」とならぶキーワードのひとつが、世間。
SNSが浸透した現代は、批判を浴びるリスクを誰もが抱え、コメントひとつにも反応を想像する必要があります。これを齋藤孝先生は、「ニュー世間」と名付けました。

『人間失格』で世間を象徴するような男が、父の別荘に出入りしていた書画骨董商の渋田、あだなはヒラメ。
心中事件を起こした葉蔵に、「どうするんですか、これから」と問いつめてくるうっとうしいやつですが、人のやることをヒラメのように監視し、干渉してくる人はたくさんいます。
SNSでは、「あなたのためですよ」というコメントにあふれていますし、芸能人に対して「あなたのためには、こうしたほうがいい」なんていう言う人も少なくありません。
葉蔵はこれらの「世間」を代表する人たちに対して、敗北の態度を取るようになっていく。相手の意に沿うようにふるまい、同調圧力に屈してしまう。そして流されていった先が「人間失格」でした。
世間に立ち向かうには、自分の軸となるアイデンティティを持つことだと本書は書きます。
そのひとつの方法が、「所属し、役割を果たすこと」。たとえば、「アイドルの○○を応援する自分」でもいい。そのファングループに所属し、一体感を得ることで心の安定が得られます。「アイデンティティとは、後から獲得できるもの」なのです。

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