デマが奪った二人の命…無実の疑いで自決に追い込まれた悲劇の皇女・稚足姫 (2/3ページ)
ともあれ君臣の身分をわきまえず、ましてや神に仕える斎宮がそのような不始末をしでかしては一大事……雄略天皇はさっそく使者を出して稚足姫を問いただします。
「わたくしは存じませぬ(妾は識らず)」
神鏡を抱いて五十鈴川に自決する稚足姫。Wikipedia(菊池容斎『前賢故実』)より。
神誓(か)けて潔白にございます。そう断言したものの、父帝は決してお疑いを晴らされまい……意を決した稚足姫は、神鏡(あやしきかがみ)を抱いて自らを生き埋めに、命を絶ってしまいました。
「五十鈴川(いすゞのかは)の上(ほとり)に詣(い)でまして、人の行(あり)かぬところを伺ひて、鏡を埋(うず)みて経(わな)き死ぬ」
やがて稚足姫の亡骸が発見されると、雄略天皇は「皇女が本当に潔白かどうか、確かめよ」と、その腹を裂くよう命じます(※これが日本で初めての司法解剖であるという説もあります)。
もう死んでしまったのだから、そこまでせずとも(潔白だったと信じてやればよかろうに)……と思いますが、ともあれ彼女の胎内には石が入っていました。