人をも殺す猛毒を持つ「タテガミネズミ」は植物の毒を利用していた (1/3ページ)
植物の毒を利用して身を守るタテガミネズミ image by:Kevin Deacon / WIKI commons
可愛らしい顔で、フッサフッサの毛皮におおわれているとなれば、もふもふっと撫でてみたくなるのが心情だが、そんな見た目に騙されてはいけない。
「タテガミネズミ(学名 Lophiomys imhausi)」はちっちゃな体に生物兵器のような猛毒を仕込んでいるからだ。
この毒は自らが分泌しているものではない。針のような毛に植物の毒を塗りつけて利用しているというのだから驚きだ。
・植物の猛毒を利用するタテガミネズミ
尻尾を含めれば体長53センチほど。その名の通り、頭頂部から背筋に沿って尾の基部まで、長さ8~9cmもある剛毛のたてがみを持つタテガミネズミはどこかスカンクに似た風貌をしており、エチオピア・タンザニア・ウガンダ・ケニアなど、アフリカ東部の乾燥した森林地帯の穴の中で暮らしている。
危険を感じるとたてがみをフウッと逆立てて威嚇。うっかりその毛に触れようものなら大変なことになる。特殊な構造をした毛からは「ウアバイン」という強力な毒(心臓の薬でもある)が仕込んであるのだ。
哺乳類にしては珍しい猛毒の秘密は、その食生活にあるようだ。
アフリカ東部から中部にかけて生えているキョウチクトウ科「ポイズンアローツリー(学名 Acokanthera schimperi)」の樹皮は、ソマリ族が毒矢の毒の原料として使用していたほどの強い毒を含んでいる。普通の人間がこの木を口にすれば中毒を起こしてしまうが、タテガミネズミにはまったく影響がない。