元署長が明かす「世田谷一家殺害」20年目の真実と解決の切り札【全文掲載】 (2/6ページ)
犯人は柳刃包丁で犯行に及んでいるが、1階の階段下に倒れていたみきおさんの頭部には折れた包丁の先端が残っていた。一方、2階のベッドの上で扼殺された長男の衣服には血痕が残っていない。まず、長男、次にみきおさんとなり、最後にお母さんと長女が襲われたことになる。実際、母娘2人の切創は先端部分が折れた凶器による傷口で、2階のベッド付近には2度目の折れた包丁の破片が落ちていた。それでも、この2人をいたぶるように切り刻む残虐性については、どうやっても説明することができないのです」
多数の遺留品、犯行の残忍性に加え、犯行後の異常な行動も、この事件の特異性を物語っている。
「殺害を行ったあとも、犯人は家の中に居座っていた。アイスクリームをスプーンなどを使わず、手でカップを握りしめるようにして2つも食べている。また、浴槽には被害者の書類をぶちまけている。状況的には何かを探していたようにもみえるが、あるいは、単に時間潰しをしていただけなのかもしれない」
こうして犯行現場に10時間以上も居座り続けるふてぶてしい様子は、世を震え上がらせた。さらに当時、容疑者が宮澤さん宅にあったパソコンを操作していたことも報じられ、その異様ともいえる犯人像が浮かび上がったのである。
「犯人が夜中の1時過ぎにみきおさんのパソコンを使い、登録された勤務会社や劇団四季のホームページに接続したようだ。そして、翌朝10時頃にも再びパソコンが使われているため、犯人は翌朝までとどまっていたことになっている。ところが、みきおさんの使っていたマッキントッシュの場合、マウスが落下した衝撃だけで作動することがのちにわかったのです。第一発見者の泰子さんのお母さんが入室した際に、何かの拍子で落ち、パソコンが起動した可能性もあるのです。つまり、当初は10時に訪問したお母さんに気づいた犯人が慌てて逃げ出したという見立てでしたが、それよりも早い時間に出た可能性も出てきました」
そして、数多くのナゾの中でも最大の疑問となっているのが、犯行の動機だ。4人家族はなぜ襲われねばならなかったのか。
「現場から十数万円がなくなったようだが、はたしてこの事件が金銭目的なのか怨恨なのか、異常人格者によるものなのか。犯行の目的の見極めがついていない。