元署長が明かす「世田谷一家殺害」20年目の真実と解決の切り札【全文掲載】 (4/6ページ)
となると見張りの男か、はたまた通りかかって異様な光景を目にし、ビックリして逃げ出した通行人だったのか‥‥」
次に、事件発覚の夕方、東武日光駅で指にケガを負った男が、駅員から治療を受けている。
「この通報はすぐに捜査本部にあげられたのだが、駅員からの情報によれば『骨が見えるほどの深手』だったこともあり、その段階ではそれほどの大ケガをした人間が日光まで行くことはないということで、捜査が後回しになってしまった」
JR吉祥寺駅北口のスーパーで凶器の「関孫六 銀寿」を買った男の姿は、防犯カメラに写っていた。だが、これも決定打にはならなかった。
「同型の柳刃包丁を野菜などと一緒に買った人物はいたが、この吉祥寺の男は包丁だけを購入しており、線が濃かった。似顔絵も作ったチラシで手配したがわからなかった」
結果的に、指紋捜査にシフトするあまり、基本となる地取り捜査が手薄になったことは否めないのだが、
「20年を過ぎて、今なお犯人にたどりつく証拠は指紋とDNAの2つだけです。もちろん指紋の照合は継続されており、新たに変死体などから一致するものが出てくる可能性はあるものの、すでに指紋捜査はやり尽くされている。犯人を見極めるためには、DNAという究極の個人情報こそが最大の証拠となるんです。現在、DNA捜査は日進月歩の勢いで、血一滴から精巧な似顔絵モンタージュを作ることが可能になっている」
この「DNAモンタージュ捜査」こそが、未解決事件に終止符を打つ最後の切り札だと、土田元署長は主張するのだ。
DNA捜査は、世田谷一家殺害事件でも一部採用されている。残された容疑者の血液から「父方は中国、韓国、日本を含む東アジア系、母方はアドリア海周辺、南欧がルーツ」という分析結果が出ているのだ。
今年12月には、14年前に10代少女に性的暴行をした32歳の男が小樽署に逮捕されているが、これもDNA捜査の成果だった。
「他にも、死刑判決から逆転無罪となった免田事件、渋谷の東電OL事件で使われています。これらは犯行現場に残された精液などから採取したDNAのわずか2%の情報で、遺伝子の型が合致するかどうかを判断する捜査方法です。