モーニング娘。が生き残りのために選んできた「選抜に頼らない決断」 (3/3ページ)
全国ツアーはまだ、1000~2000席規模のホール会場がメインとなっていたのである。
しかしそれでも、メンバーがどんどん入れ替わろうと、決して焦らずに、貯めた経験値をチームとしての完成度にコツコツ還元させていったことで、モーニング娘。は2013年に(卒業者がない状態での)日本武道館単独公演、2014年には横浜アリーナ単独公演、そして2019年末にはグループ史でも初となる国立代々木競技場第一体育館での単独公演の開催まで、それぞれ実現させることになったのだ。
2019年末の国立代々木競技場第一体育館公演の時点で、すでにモーニング娘。は紅白歌合戦に出られなくなってから、もう11年が経過しようとしていた。
……とここまでこんな長々と昔話を綴ってしまったのには、ちゃんと理由がある。それはまだもう少し紅白歌合戦の出場記録を伸ばし続けるだろう坂道シリーズとは違い、48グループはもうこのタイミングで、おそらく様々な変化の決断に迫られていくのだろうなと感じ始めているからである。
何より「この2年間、先輩方が繋いでくださったバトンを私たちの代で何度も止めてしまいました。そして今日も。それが何より申し訳ないし不甲斐ないです」というAKB48グループ総監督・向井地美音の言葉は、かつて“プラチナ期”のモーニング娘。が持ち合わせていた感情、本当にそのままなのだ。またモーニング娘。の事例を見る限り、そこではもしかしたら、彼女たちの人気を支え続けた選抜制度さえ、存続か撤廃かを問われる日がやってくるかもしれない。その時にファンができることとは、果たして過去の成功例を踏襲して、グループの行き先を数の力だけで指し示すことだけなのだろうか?
きっとそれ以上に48グループでこれから必要とされていくのは、それこそどんな場所のどんな小さな変化も見逃さずに声援を送り続ける、そんなアイドルとファンの地道な信頼関係なのではないだろうか。
そんなことを、遠くて近い私の立場では、思っている。
文●乗田綾子 PROFILE のりたあやこ フリーライター。1983年生まれ。筆名・小娘で、2012年にブログ『小娘のつれづれ』をスタートし、アイドルを中心に執筆。現在は著書『SMAPと、とあるファンの物語』(双葉社)を出版しているほか、雑誌『月刊エンタメ』『EX大衆』、ウェブメディア『週刊女性PRIME』などでも執筆。
(EX大衆2021年2月号「アイドルにとって選抜とは何かを考える」モーニング娘。)