刀は傷つけるだけでなく守るための武具 葬儀の守り刀と武具の神秘 (2/3ページ)

心に残る家族葬



また、刀は武士らしく死ぬための、つまり武士の誇りを守るための武具でもあった。それは自害・切腹のように自らに対しても向けられる、自分に厳しい側面である。武具は他者を殺すだけの兵器ではなかった。

■西洋史における刀剣の神秘

現代の銃火器やミサイルの類のような殺戮兵器とは違い、古来の武具は単なる兵器でなかった。例えば弓も魔を祓う武具とされてきた。現代でもいくつかの神社で鏑矢などを射る「追儺弓神事」、弓の弦を鳴らして邪気を祓い、厄除招福を祈念する「鳴弦の儀」など弓を用いた神事が伝承されている。

そうした武器の中でも刀剣は特に神秘的な逸話が多い。古来、刀(剣)には魔を祓う霊性が宿っていた。西洋でもアーサー王伝説に登場する聖剣「エクスカリバー」は有名でRPGでは定番の武器である。剣ではないがイエス・キリストの死を確認するために刺したとされる「ロンギヌスの槍」は聖槍として今に伝えられている(アーサー王伝説にも聖槍は登場する)。

■日本における刀剣といえば

聖なる剣と言われて日本人が思い出すのは天皇継承の証である「三種の神器」のひとつ「天叢雲剣」または「草薙剣」だろう。須佐之男命が八岐大蛇を倒した後、その尾から生えて出てきたものだという。後に神武天皇の東征の際に日本武尊が携えた。草薙剣の名は日本武尊が焼津の地で火攻めにあった際、この剣が周囲の草を薙ぎ払ったことに由来する。現在は熱田神宮の御神体として祭られている。この大蛇退治に須佐之男命が奮った剣が「十拳剣」または「天羽々斬」である。大蛇の尾の中にあった草薙剣に当たって刃が欠けたとされるこの剣は、伝承によると石上神宮に「布都斯魂剣」と呼ばれる御神体として鎮座している。

他にも、源頼光(948〜1020)が京を騒がせる鬼の頭領・酒呑童子の首を切り落とした「童子切」。頼光の側近・渡辺綱(953〜1025 )が酒呑童子の一の家来・茨鬼童子の片腕を切り落とした「髭切」。ある武士が「にっかり」と不気味に笑う女の幽霊に斬り捨てたという「にっかり青江」など、鬼を切り魔を払う武器としての名刀の逸話が伝えられている。また、加賀藩主・前田家に伝わる「大典太」は枕元に置くと病人の病が治癒したという。
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