刀は傷つけるだけでなく守るための武具 葬儀の守り刀と武具の神秘 (3/3ページ)
そのような神秘的な霊性を孕む刀であるからその逆もある。「村正」は代々徳川家に仇を成すという妖刀としての伝説が広く伝わった。こうした伝承は刀のもつ神秘性が生んだものだろう。
■故人を守る神秘的な武具
武具は人間の生殺与奪の権を有する道具である。武具を構える時、武具を向けられた時、それは生死の間に立つ時である。武具はそれ自体が生と死の狭間に位置する神域であった。同じ武器でも現代ではボタンひとつで一国を滅ぼす殺戮兵器となってしまった。ターゲットたる人間は魂など考慮されない物理的な単なるモノである。かつての武具に由来する守り刀と殺戮兵器の比較は、故人を死後もなお魂として見送るか、単なるモノとして処理するかの違いを表しているといえる。生死の狭間に立ち、多くの不思議な逸話を残し神秘を孕む刀や弓。守り刀はそうした神秘にすがり、死してなお故人を守ってほしいという家族らの思いが込められているのである。