本多劇場グループ総支配人・本多愼一郎「演劇の街・下北沢の現状とこれから」 (1/2ページ)

日刊大衆

本多愼一郎(撮影・弦巻勝)
本多愼一郎(撮影・弦巻勝)

 現在、私たちは“演劇の街”下北沢に、『本多劇場』をはじめ、8つの劇場を持っています。そして、その統括をするのが総支配人の仕事です。

 各劇場の支配人からの報告や、劇団の方とのやりとりを集結して、そのときに最も良い判断を下すわけですが、その判断というのがなかなか難しい。

 たとえば、小さめのキャパで公演を行った劇団が、次はもっと観客が入る劇場で公演したいと希望されたとき。一番いけないのは、無理をしたことで劇団の経営が立ち行かなくなってしまうことです。でも、安全策ばかりを取っていたら、劇団の成長を止めることにもなりかねない。だから、非常に悩みます。

 劇場のメンテナンスも大切な仕事です。使っていればあちこちガタが来ますし、劇団の方から「こんなものがあるといい」と提案も受けます。それらを一つ一つチェックして、やるべきことを決めていきます。

 子どもの頃から父(本多劇場グループ代表・本多一夫氏)に連れられて、芝居を観に行ったりしていましたが、そのときは正直、父がどんな仕事をしているか、よく分かっていませんでした。

 本多劇場ができたのは、私が小学校3年生のとき。その後、次々と新しい劇場をオープンさせていったので、なんとなく「劇場を建てる人」なのかなと(笑)。ただ、分からないなりにも、自分は父の後を継ぐんだろうなとは思っていました。

 でも、あるとき突然、父に「おまえ、ここに行ってこい」って言われて、行ってみたら劇団青年座のオーディション会場。生まれて初めてセリフというものを読み、見よう見まねでダンスをして。気がついたら劇団の研究員としてレッスンを受ける身になっていました。

 周囲は、本気で演劇がやりたくて入ってきた人ばかり。研究所では、演劇を志す人の気持ちや、芝居を作る過程をつぶさに体験させてもらいました。それは今の仕事に役立っていると思いますね。

 その後、研究所を終えてしばらくすると、またもや父から突然、「支配人の空きができたから、おまえがやれ」と言われ、それ以来、劇場運営に関わることに。最初に支配人を務めたのは、「劇」小劇場でしたね。

「本多劇場グループ総支配人・本多愼一郎「演劇の街・下北沢の現状とこれから」」のページです。デイリーニュースオンラインは、インタビューカルチャーなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る

人気キーワード一覧