青森や岩手を中心に東北地方に伝わる民間信仰の「隠し念仏」とは (1/4ページ)

心に残る家族葬

青森や岩手を中心に東北地方に伝わる民間信仰の「隠し念仏」とは

岩手・青森を中心に東北地方に息づく民間信仰のひとつ「隠し念仏」。時の政府や浄土真宗正統派の本願寺から異端・邪教とされ弾圧、糾弾を受けながらも、今日まで受け継がれている。なお、「隠れ念仏」という似た名称の信仰があるが、こちらは九州の念仏信仰で全くの別物である。いずれ改めて論じたい。

■隠し念仏

隠し念仏は東北地方の町村に点在する秘教的な民間信仰である。念仏を教義の中心に置く宗派には法然(1133〜1212)が開いた浄土宗、親鸞(1173〜1262)の浄土真宗、一遍(1234〜89)の時宗などがあり、天台宗にも念仏信仰が含まれている。隠し念仏はこのうち浄土真宗の流れであると伝えられている。

真宗の「本家」といえば親鸞の子孫が継承する東・西本願寺だが、隠し念仏の諸派によると真宗には本願寺が伝える表の流れと、親鸞が一部の者に秘密裏に伝えたという「内法」があり、隠し念仏は京都の鍵屋宇兵衛なる人物が東北が伝えた「内法」であるとされている。それに由来してか、信者は隠し念仏のことを「御内法」「御内証」など と呼ぶ。親鸞以外にも弘法大師空海(774〜835 )らが本尊として崇められていることから、元々の土着的な自然信仰に真言密教と浄土真宗が混淆したものだろう。隠し念仏は八重畑派、渋谷地派、水沢派などいくつかの諸派に分かれて今日に至るまで命脈を保っている。

■秘事法門

隠し念仏の中には、親鸞の長男・善鸞(1217〜86)が東北に伝えたとされる「秘事法門」という流れがある。東北に念仏布教に赴いた善鸞は、自分は親鸞から念仏の秘伝を伝授されたと自称し教勢を広げた。その教えは土着信仰や密教的な要素も含まれていたと言われる。親鸞はこれに激怒する。親鸞からすれば念仏に秘密の教えなどない。高度な教養がなくては理解できない学問としての仏教である奈良仏教、選ばれた者にしか奥義を伝授されない密教。そのような無学な庶民と遠く離れた仏教に挑戦したのが、法然・親鸞・一遍の念仏であった。親鸞は善鸞を真宗の教えを曲解した異端を意味する「異安心」として弾劾、親子の縁を義絶した。親鸞の血統を継承する本願寺としては、真宗・善鸞派とも言える隠し念仏を認めるわけにはいかなかった。

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