3兆円の公共投資をドブに…森会長の辞任で「五輪中止税」徴収の絶望シナリオ (3/3ページ)
さらに、収入の柱として見込んでいたチケット代900億円の払い戻しや延期時にIOCから分配された拠出金850億円の返還義務も発生します」(組織委員会関係者)
とかく中止による収益の喪失ばかりに目が向きがちだが、五輪開催のために投資してきた莫大な公金を忘れてはならない。
昨年12月22日に発表された五輪の会計報告である「組織委員会予算バージョン5」によると、五輪運営にかかる「直接経費」の合計額は1兆6440億円に上るのだ。
「このほかにも、各官庁の発表ベースになりますが、東京都が約7300億円、国が約1兆600億円を既存施設の改修やバリアフリー化などの『間接経費』として計上しているんです」(社会部デスク)
このままでは都市景観やコロナ対策を整備するために、合計3兆円超の投資をドブに捨てることになるのだ。おまけに東京から離れた地方自治体にも、五輪中止の影響は及ぶ。
「ホストタウンとなる各自治体は、姉妹都市を持つ国などの合宿や交流イベントのための予算を立てている。しかも、コロナ対策により通常の20~50%の予算を上乗せしているといいます。体温計や消毒液、ボランティアスタッフの派遣には相当なカネがかかるんです」(社会部デスク)
コロナ対策で神経質になっている地方自治体としては、外国人の来日そのものを断りたい。何よりムダ金を少しでも食い止めるためにも、中止にするなら早く決めてくれ、というのが本音だろう。
これらの負担は、時間差で国民から徴収する算段のようだ。政府関係者が耳打ちする。
「政府は『五輪中止税』なる名目の税金を新設する計画を立てています。東日本大震災の復興のために課せられた『復興特別税』のように、所得税や住民税に上乗せする形で徴収されるようです」
莫大な五輪マネーは「オールジャパン」での穴埋めが避けられない情勢なのだ。
※「週刊アサヒ芸能」3月4日号より