腰の刀は飾りじゃない!長さ規制に反発した戦国武将・大久保彦左衛門のエピソード (4/5ページ)
「彦左殿、それは……?」
彦左衛門が差している刀の鞘は、短く二尺三寸に切られていました……が、石突(鞘の末端)を突き抜けた白刃が、一尺余りも伸びていたのです。
江戸城内を歩き回る彦左衛門。鞘から突き出した刃先が畳を傷つけている。錦絵「大久保忠教 権勢之図」より。
引きずられたその刃先は、畳であろうと板の間であろうとズリズリ、ガリガリ……ところ構わず傷つけました。
「こらっ、彦左……やめろ、やめないか……っ!」
日ごろ彦左衛門を快く思わぬ者たちが揃って咎めてもどこ吹く風、彦左衛門は江戸城内をあちこちと歩き回ります。
「鞘は木製ゆえ簡単に切れたが、刀は鉄ゆえそうも参らぬ。さりとて替えの差料を買う銭もなく、刀がなければ武士の奉公は叶わぬでな」
「えぇい、屁理屈を申すな!上様に楯突くつもりなら、切腹は免れぬぞ!」
ここまで言えば流石の彦左衛門も引き下がらざるを得まい……そんな周囲の眼差しを一身に受けながら、彦左衛門は呵々大笑。その声は城内に響き渡ります。