武士は刀のごとくあれ!武士道のバイブル『葉隠』が説く自制心と勇気の教え (3/4ページ)
【意訳】
ある人は言った。
「意地とは内と外の両面にあるが、外にも内にも意地がない者は役に立たない。喩えるなら刀のように、よく切れるようにしっかり研いで鞘に納め、こまめにチェックしてメンテナンスを怠らないこと。ところ構わず抜き身の白刃を振り回していては誰も近寄って来ないが、ずっと刀を抜かずにいると、錆ついて刃も鈍(なまく)らとなり、人に侮られてしまうものである」と。
武士が刀を帯びているのは、敵を斬るため、殺すため……とは言っても、日ごろからメンテナンスをしていなければ、ここ一番で相手を斬れず、不覚をとってしまいます。
だからしっかり研いで刃をつけておくのですが、よく研げたからと言って抜き身のまま持っていては物騒なことこの上ないし、差した時に自分自身を傷つけてしまうでしょう。
その一方で、誰も傷つけたくないから、と刀をずっと鞘に納めっぱなしで放置していると、次第に錆びついて使い物にならず、人から侮られてしまいます。
とかく意地というものはここ一番で張るものであり、いつも我を通しているヤツは仲間が出来ず、いつも遠慮ばかりしているヤツは腰巾着にされてしまい、いずれにしても武士の奉公は成りがたいものです。