人体からエネルギーを集め電気に変換!発電システムを内蔵したシャツが開発される
credit:University of California-San Diego
人体には無限の可能性がある。そこからエネルギーを抽出することができれば、さぞや便利に違いない。
アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校のナノテク研究者は、人体から発する汗と腕を振ったときの動きからエネルギーを抽出して電子機器に電力を供給する「ウェアラブル・マイクログリッド(小型発電網)」を開発している。
そのデバイスをシャツに取りつければ、発電マンの出来上がりだ。スマホのバッテリーが不足した時に自ら発電した電力で補うことが可能になる。
Wearable microgrid runs on renewable energy from the body
・腕振りの摩擦と汗から発電
ウェアラブル・マイクログリッドは、3つのコンポーネントをごく普通のシャツに統合したものだ。
第一のコンポーネントは、袖とウエストに装着される「摩擦ジェネレーター」だ。これは歩いたり、走ったりしたときの腕振りによって生じる摩擦から発電する。
負電荷を持つ素材を腕に、正電荷を持つ素材を腰の部分に取り付ける。すると腕を振ったときに2つの素材が擦れ合い、電気が発生するという仕組みだ。
第二のコンポーネントは、シャツ裏側のちょうど胸のあたりに取り付けられる「バイオ燃料電池」だ。
バイオ燃料電池には、汗に含まれる乳酸塩と酸素分子との間で電子を交換させる酵素が使われており、人間の汗から発電することができる。
摩擦ジェネレーターとバイオ燃料電池は、うまい具合にお互いの弱点を補っている。前者は歩き始めればすぐに発電が行われるが、体の動きを止めれば発電も直ちに止まる。
一方、バイオ燃料電池は汗をかくまで発電できないが、運動を止めても汗は残るので、しばらく発電を続けることができる。
両システムの特徴を組み合わせたおかげで、バイオ燃料電池単体のときよりも2倍早く、摩擦ジェネレーター単体のときよりも3倍長く電気を供給できるようになったそうだ。

credit:University of California-San Diego
・電気を保存し安定して供給させるスーパーキャパシタ
だが、それぞれ発電システムに個性があるということは、長所でもあるが欠点にもなりうる。
たとえばバイオ燃料電池は継続的に低い電圧を発生させるが、摩擦ジェネレーターが発生させるのはリズミカルな高電圧だ。電子機器をきちんと作動させるには、タイプの違う電圧をまとめ、安定した電圧にしなければならない。
そこで第三のコンポーネント「スーパーキャパシタ」が登場する。
バイオ燃料電池の電気が、蛇口からちょろちょろと流れる水だと想像してもらいたい。摩擦ジェネレーターのそれは、ホースからリズミカルに勢いよく放出される水だ。
スーパーキャパシタはそうした水を溜めておくタンクだと思えばいい。ここに一時的に水(電気)を保存し、必要に応じて勢いを安定させて供給するのだ。

credit:University of California-San Diego
・3つのコンポーネントをシャツに取りつければ発電マンの完成だ
あとはこれらのコンポーネントをシャツに取り付け、印刷した配線でつなぎ合わせ、防水コーティングを施して完成だ。
実験として、被験者にマイクログリッド・シャツを着たまま10分間エアロバイクかランニングをしてもらったところ、運動中はもちろん、その後の20分の休憩時間でも、スマートウォッチを利用し続けることができたそうだ。
こんなシャツが普及すれば、スマホの充電が切れそうでハラハラするなんて経験はもうなくなるはずだ。もう停電も怖くなるはず。
References:‘Wearable Microgrid’ Uses the Human Body to Sustainably Power Small Gadgets/ written by hiroching / edited by parumo