チーズと魔術の不思議な関係。チーズを使った呪術や占いが数多く存在した (3/4ページ)
古代ギリシアの長編叙事詩『オデュッセイア』では、魔女キルケがオデュッセウスの仲間たちにチーズ、大麦、ハチミツ、ワインを混ぜた魔法の飲み物を飲ませて、動物に変えてしまう。
4世紀のキリスト神学者、ヒッポの聖アウグスティヌスは、可能性は低いが、こうしたことはありえ
ると言っている。
修道士マームズベリーのウィリアムは、呪いがかけられたチーズは本当に危険だと確信していたようだ。12世紀の書物の中で、とくにイタリアの宿屋の女将は、呪いのチーズを使って、たびたび客を使役用の家畜に変えたと説明している。

キルケを怒らせたため、オディッセアの仲間たちは気の毒なことになったimage credit:Metropolitan Museum of Art, New York
悪意のある魔女が、ミルクやチーズに魔術で細工すると考えられていた。近代ヨーロッパでは、ミルクを腐らせるのは、もっともよく行われる魔女の呪いのひとつだという。
1650年頃、酪農の仕事をしていたイザベル・メインは、どうしてもミルクからチーズができなかったので、ミルクが呪われていると確信した。
マーガレット・ストザードという魔術師が、その呪いを解くと、ミルクはちゃんと固まったという。マーガレットはイザベルに、これからは搾乳するときにナナカマドの枝を携えていくと、邪悪な目からミルクを守ることができるとアドバイスした。
魔女にとっては単なるいたずらだが、人々にとっては迷惑極まりない。魔女は魔術を使って、ウシのおっぱいから直接ミルクを盗むとも考えられていた。