老いを笑うな若者よ!平安時代、合戦に敗れた安倍貞任が源義家に詠んだ返歌が切なすぎる (3/4ページ)
「ころものたては ほころびにけり!」
【意訳】経糸(たといと)がほころんで、もう衣がボロボロじゃないか≒衣川館は陥落したぞ、ザマぁないな!
必死に貞任を追う義家。歌川芳虎「奥州征討 八幡太郎義家」より。
これまた安っぽい挑発ですが、下の句七・七を聞いてしまったら、上の句五・七・五を返せないと恥になります。
「……」
貞任は轡(くつばみ)を緩めて馬を止め、兜の錏(しころ。後頭部から項を防御する部分)がゆれる勢いで、振り向きながら応えました。
「……年を経し 糸のみだれの くるしさに」
【意訳】衣はよく手入れしていたのだが、古くなった経糸(たていと。縦糸≒歳月を経た糸)が乱れて、布地が見苦しくほころんでしまうのは、もはや仕方がないのだ……。
決して油断していた訳ではなく、充分な備えを固めて全力で戦ったが、もはや老い(※)には勝てない。敗れ去ったからと言って、どうか笑わないで欲しい。