尊皇攘夷の志半ばに…誤解が生んだ幕末4志士の悲劇「四ツ塚様」事件【上】 (3/4ページ)
「御家の存亡を賭けた此度の大任、しかと果たせ」
「「「「ははあ……っ!」」」」
以上、岡山出身の岡(ちょっと紛らわしいですね)が道案内役、残り土佐出身の井原、島、千屋がその護衛といった4人組で、勇み作州方面へと向かったのでした。
尊王攘夷の志を侮辱され……さて、4人は順調に旅路を進み、勝田郡百々村(現:岡山県久米郡美咲町)までやってきます。
「この先にある池上屋(いけがみや)は昔ちょっとしたご縁があるのだ」
井原はかつて当家の若衆らに剣術を教えたことがあり、主人の造り酒屋・池上屋文左衛門(ぶんざゑもん)はそのことを覚えていてくれるだろう……そう期待して資金援助を願い出た4人でしたが、文左衛門の態度は冷淡なものでした。
「はっ、尊皇護国の志士などと、乞食侍が御託を並べおって……カネを強請(ゆす)りに来たなら、素直にそう言えばまだ可愛げがあるものを」
資金援助を断るだけなら仕方ないとしても、尊皇攘夷の志を嘲り笑うとは無礼千万……かつての友好を踏みにじられた悲しさもあり、腹を立てた4名はすかさず抜刀。
「おのれ、下手に出ておれば……許せぬ!」
「ひえぇっ、助けてくれぇ……っ!」
文左衛門は煌めく白刃を見るなり、脱兎のごとく店を飛び出してしまいました。