創業者が消えても会社は成長し続ける リクルートという「理想像」 (2/5ページ)

新刊JP

でも、大西さんは『面白いね』とノリノリ(笑)。じつは、2013年に江副さんが亡くなったとき、彼は日経新聞のハコモノ(新聞の連載記事)で、江副さんとは、いったいなにものであったのか、江副さんをよく知る人たちの証言をもとに書いている。その後もジャーナリストとして、おもにIT業界を取材するといろんなところに元リク(リクルート出身者)がいて、その人たちを取材をするなかで、“まだ語られていない江副像”があると思っていたのでしょう。原稿執筆にかかる前から、“江副浩正とは、インターネットのない時代に紙のGoogleを作った男だったのではないか”という仮説を立てて、その仮説を、江副さんを描く新たな切り口にしたのだと思いました」(加藤氏)

江副浩正という人物に光を当てることは、一つのチャレンジだったに違いない。加藤氏が「どうして今頃?」という反応を予想していたように、江副氏が表舞台を去ってから30年以上が経っている。有名ではあれ、すでに「過去の人」になっていた江副の評伝ノンフィクションの企画に、なぜ東洋経済新報社ではゴーサインがでたのか?

「最初、社内で企画を出したとき『今さらリクルート事件を検証する本を出しても、読まれないんじゃないの?』という意見がありました。ただ、この本はそういうものではなくて、これから若い方々が活躍していくうえで非常に参考になる“起業家としての江副浩正”に光を当てる本だと説得して、企画が通りました」(桑原氏)

「僕と同世代だと、江副さんにいい印象を持っている人はあまりいなくて、“ズルした人”とか“政治家にカネをばらまいて自分の事業を拡大することに熱心だった人”というイメージを持っている方が多い。リクルート事件の前から、江副さんって、大手広告代理店や主要メディア、とくに朝日や読売などの全国紙からすると得体の知れない不気味な存在でした。彼らは自分たちや、街の新聞販売店のドル箱だった求人情報や不動産広告をリクルートに奪われていたから、怨みを買っていたということもあるのではと思います。いまなお同調圧力が強い日本社会もまた、リクルートという得体のしれない異物に、気持ち悪さというか、免疫の過剰反応のサイトカインストームみたいに拒絶反応を示していた。

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