余命わずか、最期にもう一度競馬を見たい。男性の願いがついに叶う時(オーストラリア)

image credit:7NEWS Sydney/Facebook
余命あとわずかというオーストラリアに住む男性の最期の願いは「もう一度、競馬が見たい」というものだった。そしてその願いは、救急救命士の特別な取り計らいにより叶えられることとなる。
自宅で終末期ケアを受ける為、病院から移動する途中、男性は競馬場に立ち寄ってもらい、馬がレース場を元気に走り抜ける姿を見ることが叶ったのだ。
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・男性の最期の願い
5月1日、オーストラリアの南オーストラリア州モーフェットビル競馬場のトラックサイトには、普段とは異なる光景があった。
担架に乗せられた男性が、救急救命士と家族とみられる女性に付き添われて、競馬の祭典『アデレード・カーニバル』を鑑賞していたのだ。
その日は、15日にわたる祭典がちょうど開幕した初日で、オーストラリアでは最高峰と言われるメルボルンカップや海外レースで優勝経験があり、世界の舞台で活躍するクレイグ・ウィリアムズ騎手(43歳)が出場していた。
そのレースを担架に横たわりながら見守っていたのは、ナイジェル・レイサムさん(58歳)だ。競馬愛好家の彼は以前この競走馬の共同所有者だったそうだ。
しかし重い病を患ったレイサムさんは王立アデレード病院に入院。余命宣告を告げられ、自宅で最期を迎える為、病院から自宅へと移るところだった。
その途中で、救急救命士のベック・サンダースさんと同僚のローラさんは、レイサムさんに「最期に行きたいところはありますか?」と尋ねた。
するとレイサムさんは「病院のテレビで競馬を見ていたことがあったから、競馬場に行ってみたい」と答えたという。

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・競馬が見たい。レイサムさんの願いが叶う
レイサムさんの最期の望みを聞いた救急救命士2人は、すぐに競馬場へ連絡し許可を得ることに成功。特別な対応を受けることができた。
フィニッシュポストからわずか200メートルのところにあるレール上の最高のスポットで、妻のジュリーさん、そして救急救命士に見守られながら、レイサムさんは最期に大好きな競馬を鑑賞することが叶ったのだ。

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・優勝した騎手からのサプライズ!
ウィリアムズ騎手が華麗にゴールを決め優勝した瞬間を間近で見ることができたレイサムさん。そこでサプライズが!
ウィリアムズ騎手はレイサムさんに、レース中につけていたゴーグルを直接手渡しでプレゼントしたのだ。
レイサムさんは「ベックとローラがここに連れてきてくれて、そして奇跡を起こしてくれた」と感謝の気持ちを伝えたという。
ウィリアムズ騎手はメディアの取材に対し次のように語った。
レース前にレイサムさんのことを聞いて、「もしお前が勝てば、ゴーグルをレイサムさんにプレゼントしたいんだ。頑張ってくれよ」と馬に伝えたんです。そしたら、彼女(馬)は本当によく頑張ってくれました。
今日のレースは、レイサムさんの応援があったからこそ優勝できたのです。

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・レースから2日後、この世を去る
レイサムさんは、ウィリアムズ騎手からの贈り物にとても感動し、家に帰るまでずっとゴーグルを着用していたそうだ。
2006年にイギリスからオーストラリアに移住したレイサムさんは、このレースの2日後、家族に見守られながら自宅で息を引き取った。
レイサムさんのことがメディアで報じられると、余命僅かの男性の最期の願いを叶えるべく取り計らった救急救命士の思いやりに、多くの人から称賛の声が寄せられた。
なお、レイサムさんの遺灰は、イギリスのウスターシャー州、ヘレフォードシャー州、グロスターシャー州をまたぐモルヴァン丘陵に移される予定になっているということだ。
written by Scarlet / edited by parumo