現代人は集中力が散漫になりやすい 精神科医が警鐘を鳴らすスマホの怖さ (1/2ページ)

新刊JP

『スマホ脳』(新潮社刊)
『スマホ脳』(新潮社刊)

私たちの生活においてスマートフォンはなくてはならないものになった。一人でいるときにスマホでSNSを見ながら時間をつぶす。誰かと一緒にいるときでさえも、スマホを操作して話題を探す。スマホが近くにないと不安を抱いてしまう人も少なくないだろう。

そんな私たちの「スマホ依存」に対して警鐘を鳴らす一冊が話題だ。
6月1日に発表された日本出版販売とトーハンの2021年上半期ベストセラーランキング「新書・ノンフィクション部門」で、新書『スマホ脳』(アンデシュ・ハンセン著、久山葉子訳、新潮社刊)が1位となった。

著者でスウェーデン出身の精神科医のアンデシュ・ハンセン氏は、本書の冒頭で、私たち人類の長い歴史の中で、スマホ、フェイスブック、インターネットがあって当たり前の世界はごくわずかだと指摘する。
現代社会における技術の進化のスピードは極めて速いが、実際に私たち人間がその社会に適応できているのだろうか。これまでスマホがなかった時代を生きてきた私たちが、スマホという道具を手にしてわずかな時間の中で、どう変わったのだろうか。

■すぐ近くにスマホがあるだけで集中力が散漫に

私たちの脳はまるでドラッグのようにスマホを欲してしまう。ふと気づけばスマホのロックを解除し、ウェブやSNSを見る。それは、脳がスマホに対して「何かが起こるかもしれない」という期待を抱き、報酬中枢を駆り立てているからだ。この中には「大事かもしれない」何かがあり、「ちょっと見てみるだけ」とスマホを手に取る。それを1日中繰り返すわけである。

そうして私たちはスマホを無視できなくなる。すると何が起こるかというと、集中力が欠如していくという。人間はもともとマルチタスクが苦手で、一度にひとつのことしか集中できない。スマホが一台あるだけで――しかも、サイレントモードにしてポケットにしまっていても――それに注意が引っ張られてしまう。

著者によれば大学生500人の記憶力と集中力を調査すると、スマホを教室の外に置いた学生の方が、サイレントモードにしてポケットにしまった学生よりもよい結果が出たという。

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