去勢すると長生きする。羊を使った実験により男性ホルモンがDNAを老化させている可能性

多くの生き物はオスよりもメスの方が長生きだ。これは人間も同様で、人間の男性の場合、不健康な生活習慣もその要因の1つとして挙げられるが、この点を考慮してもやはり女性の方が長生きなことは統計データからも明らかだ。
だが男性の寿命を延ばす禁断の方法があるようだ。人間の男性にも当てはまるのかどうかはわからないが、羊のオスの場合、去勢すると長生きになる。
その理由がDNAレベルで解明されたようだ。男性ホルモンがDNAを老化させている可能性があるというのだ。
・男性より女性が長生きする理由
なぜ男性より女性のほうが平均して長生きなのか?まだ完全にはわかっていないが、一説によると男性の性染色体がXYであることと関係があるらしい。
男性にしかないY染色体は小さいので、X染色体に病気を引き起こす危険がある突然変異があったとしても、それを”隠す”ことができない。
一方、XX染色体を持つ女性の場合、片方にリスキーな突然変異があってももう一方のX染色体が代わりになって、有害な遺伝子の発現を防ぐ。だから男性の方が早死にするというのだ。

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・去勢した羊のオスはDNAの老化速度が遅くなる
ことの真偽は別にして、羊の場合、オスでも長生きする方法がある。去勢をするのだ。去勢された羊のオスが長生きすることは、農家や科学者にとっては周知の事実である。
『eLife』(7月6日付)に掲載された研究では、それがなぜなのかDNAレベルで調査されている。それによると、去勢された羊のオスはDNAの老化速度がゆっくりになることが確認されたという。
オタゴ大学(ニュージーランド)の研究グループが調べたのは「DNAメチル化」が進む割合だ。これはDNA塩基にメチル基修飾がくっつく化学反応のことで、ある個体の生物学的な年齢を客観的に把握する指標になる。
オスとメスではこのDNAの老化がまるで違うことが知られているが、今回の研究では、去勢されたオスとされていないオスでもやはり違うことが判明したとのことだ。

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・男性ホルモンがDNAを老化させる?
また面白いことに、去勢によってもっとも影響を受ける部位は、男性ホルモン受容体があるところであることも明らかになっている。
マウスの組織を検査したところ、皮膚・腎臓・脳といった男性ホルモン受容体がある場所ほど、去勢後のDNA老化パターンに大きな変化が見られたのだ。反対に男性ホルモン受容体がないところでは、去勢による影響はほとんど見受けられなかった。
このことは「去勢」と「男性ホルモン」と「DNAの老化の性差」に関係性があることを示しているという。

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・人間ではどうなのか?
はたして人間でも同じことが言えるのかどうかは不明だ。
ただし、かつて宦官(かんがん)と呼ばれる去勢を施された官吏が存在したが、少年期に去勢を施された朝鮮王朝時代の宦官は、睾丸のある男性に比べて大幅に長生きしていたことが、歴史資料の調査によって明らかになっている。
14世紀から20世紀初頭の宦官の寿命を調査したところ、彼らの平均寿命は70歳で、100歳を超えていた宦官もいたそうだ。同じ家系の去勢をしていない男性の平均年齢が51~56歳だったことを考えるとかなり長生きだ。
ただし男性ホルモンが関係していることから、去勢をするならまだ少年期じゃないとダメなのかもしれないのでまさに禁断の長寿法だろう。
References:Castration delays DNA aging | EurekAlert! Science News / The lifespan of Korean eunuchs: Current Biology / written by hiroching / edited by parumo