『さよならドビュッシー』作家・中山七里インタビュー「作品に向き合う人間力」 (1/2ページ)

日刊大衆

中山七里(撮影・弦巻勝)
中山七里(撮影・弦巻勝)

 大学時代、僕がなりたかったのは、作家ではなく、サラリーマンでした。本を読むこと、映画を観ることが好きで、安定収入のある仕事なら、そのための時間をたっぷり取れると考えたからです。

 僕は岐阜の田舎育ち。外に遊びに行っても、合間に本を読んでいるような子どもで、人が殺される物騒な内容の本が大好き(笑)。コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズ、モーリス・ルブランの『アルセーヌ・ルパン』シリーズはもちろん、図書館にある世界各国の名作推理小説を読破しましたね。

 映画にハマったのは中学1年のとき。スティーブン・スピルバーグの『ジョーズ』を観て、「こんなに面白いものがあるのか!」と感激したのが最初でした。土日になると電車で1時間かけて歓楽街の柳ヶ瀬まで行き、上映されている作品を片っ端から観ようとしていました。「これも映画だから……」と、にっかつロマンポルノまで、堂々と観ていましたね。それも坊主頭で(笑)。

 その後、予定通りサラリーマンになった僕は、本を乱読し、ひたすら映画を観るという生活を20年以上続けることになります。

 そんな僕が小説を書くようになったきっかけは、大阪に単身赴任していた46歳の頃に、推理作家の島田荘司さんのサイン会に行ったことでした。日々の生活は、僕にとってとても楽しく、特に何か文章を書こうとも思わなかったんですが、サイン会の後、僕は本を持ったまま、難波のパソコンショップでノートPCを買って、そのまま発作的に小説を書き始めていました。ファンだった島田さんのサインをもらって、魔が差したのかもしれません(笑)。

 そして、そのときに書いた小説『魔女は甦る』を、試しに『このミステリーがすごい!』大賞に応募してみたら、いきなり最終選考に残ってしまった。なんか自分でも拍子抜けしたんですが、その一方で、賞を獲れなかったことが悔しくなってきて、大賞を獲るためにはどうしたらいいか、考えてみたんです。

■「“のんびりしたい”という気持ちはまったくない」

 まず、選考委員の4人が過去に高く評価した作品の傾向を分析しました。すると、それぞれ重視している“軸”が違う。

「『さよならドビュッシー』作家・中山七里インタビュー「作品に向き合う人間力」」のページです。デイリーニュースオンラインは、インタビューエンタメなどの最新ニュースを毎日配信しています。
ページの先頭へ戻る