脂肪を汗にして体から排出する新たな減量法が糖尿病の治療薬の研究で偶然見つかる

もともとは糖尿病の治療薬の研究だったそうだ。ところが奇妙にも実験動物のマウスはギトギトと脂っぽくなり、体重がみるみる落ちていった。
じつはそのマウスは、脂肪(皮脂)の汗を流して痩せていたのだ。『Science』(7月30日付)に掲載された研究では、そんなまったく新しい減量法につながる可能性のある発見が紹介されている。
・糖尿病の治療薬の研究で予想外の発見
「まったく予想外の発見でしたが、エネルギーが豊富な皮脂として皮膚からカロリーを分泌することで、減量できることを証明しました」と、アメリカ、ペンシルベニア大学の上林拓博士は語る。
上林博士らは、脂肪たっぷりの食事で太らせたマウスに「TSLP」を注射していた。TSLPは抗原提示細胞を介したT細胞の成熟に重要な役割を担うサイトカインの一種だ。
「サイトカイン」は免疫細胞から分泌されるタンパク質のことで、TSLPは、エネルギーの代謝を調整しているとされる免疫細胞の仲間を活性化させる。
その狙いは、マウスの「インスリン抵抗性」を下げることだった。糖尿病とはインスリンがきちんと働かず、血液の中のブドウ糖が増えてしまう病気だ。だからインスリン抵抗性を下げることができれば、症状を緩和することができる。

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・脂肪が落ち、劇的にやせたマウス
ところが予想外なことが起きた。マウスの体重がみるみる落ちていったのだ。45グラムまで太らせたはずのマウスは、28日で健康的な体重である25グラムにまでやせてしまった。
もっとも驚きだったのは、内臓脂肪が落ちたことだという。お腹の内臓周りにたくわえられるこの脂肪は、増えすぎると糖尿病・心疾患・脳卒中のリスクを高めるため、現代社会ではあまり歓迎されないものだ。
ほかにも血糖値や空腹時インスリン値が改善し、さらには脂肪肝疾患のリスクまで低下していた。
あまりにも劇的なダイエット効果だったために、病気や食欲が減退している可能性も疑われたという。
しかし不思議なことに、マウスは逆にいつもより2、3割多くエサを食べ、しかも運動量も変化していなかった。
尿や糞を検査しても、そこから脂肪が排出されているような形跡は見当たらない。それなのに一体何がおきたというのだろう?

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・脂肪が皮脂として汗と共に流れていた
じつはTSLPを投与されたマウスは、毛皮がギトギトと脂っぽくなっていた。そこでその脂を調べてみたところ、「皮脂」であることが判明したという。
皮膚のバリアとしても機能する皮脂は、カロリーの密度が高い脂肪だ。このことから、TSLPを投与されたマウスは”脂肪の汗”を流してやせたと考えられるそうだ。
その後の研究では、人間にも同じ方法が使える可能性があることも明らかになっている。上手くいけば、肥満や脂質疾患といった病気を治すまったく新しい治療法につながるかもしれないとのことだ。
References:Thymic stromal lymphopoietin induces adipose loss through sebum hypersecretion | Science / Reversing Obesity: Cytokine Treatment Causes Mice to Lose Weight by “Sweating” Fat / written by hiroching / edited by parumo