肝硬変で42歳で亡くなった水原弘とちあきなおみの「夜へ急ぐ人」 (4/5ページ)
ショーのステージを終えた深夜に吐血したにもかかわらず、「一晩眠ればよくなるから、明日東京へ帰る」と言い張っていた水原だったが、救急隊員とマネージャーの説得を受け、北九州市の病院に運び込まれた。しかしその時には、胃の中の血管が切れ、体内の血液の3分の2を吐き出していた。翌日、今度は食道の静脈破裂で吐血した。無菌治療室に運ばれたものの、今度は腸の血管まで切れてしまった。長年の深酒により、水原の肝臓はほとんど機能しておらず、手術は不可能だった。しかし、体内の出血が肺に入り込むのを防ぐため、歌手の命である喉もとを切開し、食道からの出血を外に導き出す応急処置が施された。処置の後、意識を取り戻したものの、口を利くことが叶わなくなった水原は、幼児が使うアイウエオ板が差し出されると、「マ・ダ・ウ・タ・エ・マ・ス・カ」と指でたどり、歌への意欲を捨てることはなかったという。しかし、倒れてからわずか12日で、「東京へ帰る」「歌う」ことが叶わないまま、まさに『黒い花びら』の冒頭の歌詞通り、「静かに散った/あの人は帰らぬ 遠い夢」そのものとなったのである。
■コロナ禍で路上飲みが問題になっている
日本において、2020(令和2)年1月15日に国内で初めて感染者が確認された新型コロナウィルスの感染拡大が始まって、1年8ヶ月が経過した。「コロナ鬱」「自粛疲れ」「緊急事態宣言慣れ」「年寄りと違って、若者は重症化しないから〜」「自粛していても感染する人は、感染するし〜」「今を楽しまないと、損!」「ちょっとぐらい」「店がやってないから」…などと、いろいろな理由をつけて、駅前広場や公園などで夜間に、ノーマスクで仲間と缶チューハイなどを飲みながら大騒ぎする、いわゆる「路上飲み」をする人々が後を絶たない。通常時ではなく、コロナ禍の「今」だからこそ、政府やマスコミなど「みんな」が「自粛してください!」と呼びかけているからこそ、彼らはちょっと悪ぶって、アルコールで自らを解放、発散したいのだろう。その姿はまさに、かつての水原弘とは別の意味合いで、刹那的に「おいで おいで」について行く、「夜に急ぐ人」たちなのかもしれない。
■最後に…
『夜に急ぐ人』の1番と2番の合間に、以下のモノローグがある。