パラ金メダリスト・木村敬一が語る「延期の1年」 (2/3ページ)

新刊JP

そこで他の人とつながってやっていけたのは、やはり水泳があったからだったと思います。

――好成績が期待されているからこそのプレッシャーについても率直に書かれていました。不眠や吐きぐせなど体に異変が出るなかで、プレッシャーとどのように付き合っているのでしょうか。

木村:不眠とか吐きぐせが出ていた時期は、プレッシャーに向き合いきれなくて、それがしんどかったんですよね。だから今はいかに体に異変が出るような状況にならないようにするかを考えています。いかに日々健康に暮らすかということですね。

――プレッシャーに対処しきれなかったとおっしゃっていた時期でも、リオデジャネイロ大会ではメダルを4つ獲得して好成績を残しています。

木村:いや、でも僕の中ではいい成績とは言えないんです。金メダルに届いていない時点でリオは負けです。

いい成績だったと言っていただけることは多いですし、終わったあとたくさんの方に祝福していただいたりして「あ、これはいい成績なんだ。じゃあいいか」とちょっと思ったこともあったのですが、やはり今考えると「負けた大会」です。だからプレッシャーには勝ててないですし、コンディショニングもできていなかった。

――コロナ禍で1年延期されました。この1年間モチベーションをどう保ってきたのかお聞きしたいです。

木村:今思うとしんどかったです。延期が決まった去年の3月は、この感染症がどのくらい危険なものなのかがよくわかっていなくて、「夏くらいには収束しているんじゃないの?」とどこかで思っていたのですが、「向こう10年は収まらないぞ」みたいな情報も出ていたので、この先どうなるのか不安でしたね。

ただ、とりあえず1年間は試合がないらしいとわかってからは、割と気楽に構えていた気がします。本当なら半年前ということでギアを上げていかないといけない時期ですが、試合がなくなったので「無理しなくていいんだな」ということでぼんやりしていました。

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