究極の母性愛。自分の内臓を子どもたちに食べさせる蜘蛛「ムレイワガネグモ」(虫注意) (3/4ページ)
こうした餌に乏しい環境に子蜘蛛を放つよりは、母蜘蛛はできる限り自らの身体を与え、子供たちの成長を助けることを選んだのだ。栄養を体内の組織に蓄えた母蜘蛛は、まるで砂漠の冷蔵庫のようである。
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母を失った子蜘蛛たちは、数週から1ヶ月の間、母蜘蛛が作った蜘蛛の巣に獲物がかかるのを待ち続ける。だが、身体が小さく弱い兄弟は、別の手段を見つけねばならない。弱いものから先にその場を後にし、別の枝や潅木に居を構え、自らの巣を作るのだ。しかし、メスの場合はそれも次の春までの間だ。彼女たちも、自分の母蜘蛛がしたのと同じように、子蜘蛛たちに身を捧げる運命にある。
短い生涯に思えるが、あらゆる生命の行動原理は子孫を残すことである。ときに、いかなる代償をも厭わない。全てを捧げた母蜘蛛が命を落とすとも、餌に乏しい環境では子蜘蛛に大きな恩恵を与えることになる。そして、母蜘蛛の遺伝子は受け継がれていくのだ。
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面白いことに、近類のStegodyphus dumicolaは、一匹狼のクモ綱には珍しく社会集団を形成する。この群れのメスで生殖可能となれるだけの栄養を与えられるのは半分だけだ。ユニークなのは残りの半分である。母蜘蛛となった個体が自らを溶かして子蜘蛛に与えるとき、この未成熟な姉妹たちも身体を溶かして、いわば姪や甥たちに命を捧げる。
こうした行為は血縁選択と呼ばれている。生物の進化には、自らの子孫だけでなく、遺伝子を共有する血縁者の繁殖成功も影響を与えているようなのだ。自分が子孫を産むより残せる遺伝子が少なくなるが、それでも何も残さないよりはましだ。同じ行動原理は、ハチやアリでも見ることができる。進化は、次の世代を残すため、種を利己的に駆り立てるかに思えるが、その実協力が優れた進化上の戦略となりうるのだ。