死体が朽ちていく様子を九段階に分けて描いた仏教絵画「九相図」 (2/2ページ)
■檀林皇后(だんりんこうごう)九相図 新福寺 京都市東山区
檀林皇后は嵯峨天皇の后で、嵯峨野に檀林寺を創建したところから通称で檀林皇后と呼ばれる。檀林皇后は、仏教に深く帰依しており、死後は自らの遺体を獣などの生き物に与えるため、遺体を風葬にすることを望んだ。九相図の最後は、土にかえったのか、骨すら残らないない様子が描かれている。京都東山区にある西福寺に保存されており、定期的に展示会が行われているが通常非公開の九相図である。
■小野小町九相図 安楽寺 京都市左京区
京都市左京区浄土宗安楽寺の宝物の一つに、世界三大美女として知られる小野小町の九相図も掛け軸として存在する。小野小町は百人一首にて、「花の色は うつりにけりな いたづらに わが身世にふる ながめせしまに」と読んでいる。花の色は色あせてしまったことよ、長雨が降り続く間に。むなしく私もこの世で月日を過ごしてしまった、物思いにふけっている間に、という意味である。その意味のごとく、美しい小野小町でさえも、いつかその人生は色あせていく無常なものであることを表している。
■男女一対の九相図 西岸寺 京都市伏見区
基本的な九相図は女性が多いため男女の遺体が描かれる西岸寺の九相図は珍しい。江戸時代の作品とされ、5幅1組の掛け軸である。宇佐美松鶴堂により修復されたその絵はとても色彩豊かに表現されており、美しいものであった。
■最後に…
恐ろしく、そして美しい九相図を見ることで改めて生と死について考えてみてはどうだろうか。ただし、ご紹介した九相図は閲覧・拝観可能であっても時期が限られているものが多い。もし、今後公開される機会があればぜひ見に行っていただきたい。
■参考資料
■関口真大校注『摩訶止観』(岩波書店、一九六六)