関西「1万円ニセ札工場」にリアル潜入(1)紙幣の偽造で「無期懲役」も (2/3ページ)

Asagei Biz

80年代末から90年代後半にかけてスーパーK(100ドル偽造札)が世界中を混乱させたように今、日本の円を巡っても同様の事態に陥ろうとしているのだ。

 筆者は以前、某出版社から「丸野くん、ちょっと行って取材してこい」「そんな取材できる人間は丸野くんくらいだから」と気軽に頼まれて断り切れず、禁断の現場に足を踏み入れた経験がある。ニセ札を造って流通させているチャイニーズマフィアたちが働く工場だ。

 生きて帰ってはきたものの、闇社会のリアルな現実に衝撃を受け、その詳細を記事化することは憚られた。しかし今、その全貌を公開したいと思う。

 工場に辿り着くまでには仲介者がいた。まず紹介を受けたのは、テキヤ稼業から始まり、韓国産のコピー商品を扱って財を成している男だった。高額のネタ付け(仕入れ値)で揃えたスーパーコピー品を胡散臭いブランドショップや夜の嬢などに流していたのだ。

 彼を介して、商売上の恩人だという判子業界で名の知れた吉田(仮名)という老人を紹介された。吉田老人は判子以外にも偽造パスポートや偽造免許証などを高額で裏社会の人間に卸している、いわば偽造品のプロだった。

 筆者が緊張した面持ちで自宅を訪ねると、吉田老人は一心不乱に顕微鏡を覗いている最中だった。

「そこいらにいろんなものが転がってる。全部偽造品だ。適当に見ててくれ」

 見れば、偽造されたパスポートや免許証などがたんまりとある。全てが精巧な作りだ。

 1時間ほど封筒にパスポートを詰める作業をしていた夫人が、こちらに甲斐甲斐しく挨拶をしながら、ズク(10万円)の束を吉田老人に渡した。せっかく来てくれたのだから、外でおいしいものを食べてくれば、という心遣いである。

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