人の真価は死に様にこそ…明治時代の士族叛乱「福岡の変」に散った英雄たちの最期【下編】 (4/6ページ)

Japaaan

「行くぞー……っ!」

冴え冴えとした月夜に、武部の雄叫びが響いた(イメージ)

これが何を意味しているか、少年たちだけには伝わりました。

「「「先生……っ!」」」

当時の感激を、後に奈良原至は作家の夢野久作(ゆめの きゅうさく)にこう述懐しています。

「あれが先生の声の聞き納めじゃったが、今でも骨の髄まで沁み通っていて、忘れようにも忘れられん。あの声は今日までわしの臓腑(はらわた)の腐り止めになっている。貧乏というものは辛労い(しんどい)もので、妻子が飢え死によるのを見ると気に入らん奴の世話にでもなりとうなるものじゃ。藩閥の犬畜生にでも頭を下げに行かねば遣り切れんようになるものじゃが、そげな時に、あの月と霜に冴え渡った爽快な声を思い出すと、腸(はらわた)がグルグルとデングリ返って来る。何もかも要らん「行くぞオ」という気もちにもなる。貧乏が愉快になってくる。先生…先生と思うてなあ…」

かつて維新の大義を掲げて戦ってきたものが、いざ自分たちが勝利し、官軍となったら贅沢三昧を尽くし、処世術に長けた者だけが賢しらに立ち回る……そんな中にあっても、志を忘れず生きるように伝えた武部の一声は、少年たちの胸に響き続けました。

……さて、話を戻して武部はいざ処刑に臨み、斬り手に伝えます。

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