人の真価は死に様にこそ…明治時代の士族叛乱「福岡の変」に散った英雄たちの最期【下編】 (3/6ページ)
「おい、武部先生がとうとう捕まったらしいぞ」
一方、既に投獄されていた少年たちは、自分たちが足手まといになってしまったことを大いに嘆き悲しみます。
「俺たちが不甲斐ないばっかりに……」
「先生、どうかお許し下さい……」
みんなが泣き叫ぶ中、少年の一人である奈良原至(ならはら いたる)が言いました。
「先生はいつも『我々が事敗れてのち、天下の成り行きを監視する責任は君たちの双肩にかかっている』と仰っていた。先生はその精神を実現するため、一命をなげうって俺たちを救いに来て下さったのだ!」
「……そうだな、泣いている場合ではなかったな」
「俺たちがしっかりせねば、先生も安心して旅立てまい……」
そしていよいよ処刑の夜。越智と同様に「除族の上、斬首」となった武部は、処刑場へと引き立てられていきます。
まったく豪い者だ……武部小四郎の立派な最期「少年たちと、最後に話はできぬか?」
各獄舎に囲まれた中庭を通る時、武部は看守に訊ねました。ずらりと居並ぶ獄窓のどれかに、少年たちがいるはずです。
「ならんならん!何を吹き込むか分かったものではない!」
看守が拒絶すると、武部は冴え冴えとした月の下に立ち止まりました。
「ならば……我が一声をもって伝えるよりあるまい」
「何だと?」
武部は胸も破けよ、誠心とび出でよとばかりに息を吸い込むと、内臓まで吐き出さんばかりの大音声で叫びます。