人の真価は死に様にこそ…明治時代の士族叛乱「福岡の変」に散った英雄たちの最期【下編】 (5/6ページ)
「これから気を整えるゆえ、よしと言うまで斬らぬように」
精神を統一して見苦しい死に様を晒さぬよう、また、斬り手が焦って失敗しないよう配慮したのですが、これは往時の武士たちが最高の状態で死を受け入れる作法でもありました。
「よし!」
果たして一刀の下に武部の首は斬り落とされましたが、その胴体は背筋を伸ばしたまま、まるで生き続けているかのようだったそうです。
「まったく武部は豪(えら)い者だ……平生よほどの覚悟がなければ、これだけの最期は遂げられまい」
世の中は 満つれば欠ける 十六夜の
つきぬ名残は 露ほどもなし【意訳】世の中、満ちれば必ず欠けるもの……十五夜を過ぎた十六夜月(いざよいづき)に露ほども未練はない
なすべきことはすべて成したのだから、結果はどうあれ思い残すことはない……武部の辞世には、そんな潔さが表れています。
エピローグ・武力から言論の世直し「自由民権運動」へ
かくして後世にいう「福岡の乱」は終結、ほどなく西郷隆盛も自刃して士族叛乱の気運は沈静化に向かっていきます。