世が世であれば…男に騙され、売り飛ばされた没落華族・松平義子の悲劇 (3/5ページ)
売り飛ばされた義子の末路
「さぁさぁ、元は華族令嬢が今や芸妓に落ちぶれたよ!旦那がた、どうかこの哀れな女にお恵みを……(笑)」
既成事実さえ作ってしまえばもうこちらのもの、とばかりに態度を豹変させた八郎は、義子を「落ちぶれ華族令嬢」と宣伝し、700円で京都の置屋に売り飛ばしてしまいます。
「アンタ……ウチの娘に何ということを!」
「うるせぇ婆ぁ、騙される方がバカなんだよ!」
何一つ悪いことをしていないのに、父親の放蕩で身を持ち崩し、御家再興に目が眩んだ母親によって詐欺に陥れられ……義子の悲歎は察するに余りあるものでした。
温室育ちの御令嬢が、落ちぶれて芸妓となった……そんな触れ込みで義子は好奇の目で見られ、中には同情する者もあったでしょうが、僻みっぽい手合いからイジメられることも少なくなかったことでしょう。
「今までさんざん贅沢三昧していた報いだ、ざまぁ見ろ!」
過酷な仕事に心身を病み、倒れても休む暇などない……通院しながら仕事を続けていた昭和11年(1936年)9月9日、義子は電車に乗っていました。