世が世であれば…男に騙され、売り飛ばされた没落華族・松平義子の悲劇 (1/5ページ)
「世が世であれば……」
名門の末裔などが不遇を嘆いて口にするこのセリフ。明治維新によって世の中が大きく変わる混乱の中で、既得権益を失った者たちのエピソードは、枚挙にいとまがありません。
今回はそんな一人・松平義子(まつだいら よしこ)を紹介。いわゆる「いいとこのお嬢様」が、あれよあれよと転落していく人生は、人々の胸を痛めたと言います。
いったい、どんな人生だったのでしょうか。
没落華族の御家再興を期待されるも……松平義子は生年不詳、父の松平信安(のぶやす)はもと出羽国上山藩(現:山形県上山市)藩主で、明治時代に入って上山藩知事、芝大神宮(現:東京都港区)の社司を歴任する華族(子爵)でしたが、永年の放蕩三昧が祟ってその座を返上させられてしまいます。
華族から一般庶民へと転落した信安は大正7年(1918年)、失意の内に亡くなりますが、遺された妾のたまと五人の子供たちは、本郷(現:東京都文京区)に身を寄せ合って暮らしました。