ナメられたら斬り殺せ!武士道バイブル『葉隠』が伝える殿中での抜刀事件、その判決は? (3/4ページ)
「人からなぶり者にされて黙っている者は腰抜けぞ。たとえ殿中であろうがどこであろうが、ナメられたら斬り殺すのが武士の心得。そんな事も知らずに人を挑発するのは不覚悟であり、某については斬られ損、徳久については咎めなしとせよ」
合戦の場においても言葉戦い(ことばだたかい)などと言うように、そもそも相手に対する挑発は戦闘行為すなわち攻撃であり、する以上は相手からの反撃も覚悟しておかねばなりません。
にもかかわらず「よもや殿中で斬りかかっては来るまい」などと高をくくり、相手の失点を笑い、なぶり者にするような卑怯の輩は斬り殺されて当然、むしろいなくなってくれた方が家中の為である……それが武士の心得でした。
このお裁きによって徳久某は無罪放免、斬り殺された某についてはそのまま打ち捨てられたのでした。
めでたしめでたし。
終わりに二九 徳久殿殿中にて刃傷の事 徳久何がし、人に替りたる生まれつきにて、ちとぬけ風に相見え候。或時、客人招請候て鰌なますを仕られ候。その頃、諸人、「徳久殿の鰌なます」と申して笑ひ申し候。出仕の節、何がし右の事を申し出し、なぶり申し候を、抜打に打ち捨てられ候。この事御僉議になり、「殿中にて粗忽の仕方に候間、切腹仰せ付けらるべき」旨申し上げられ候。直茂公聞し召され、「人よりなぶられてだまりて居るものはすくたれなり。