PDCAばかり追いかけている企業がイノベーションを起こせない理由 (2/3ページ)

新刊JP

「MTP(Massive Transformative Purpose)」だ。本書ではこの「MTP」を次のように定義づけている。

「個人や組織が最低30年以上先に実現する、現状とはまったく異なるような世界観」(p.33より引用)

30年以上先の未来がどうなっているのか。その世界観を「MTP」を呼ぶ。
では、イノベーションを起こす起業家たちはこの「MTP」をどのように設定しているのか。

例えば、イーロン・マスク率いるテスラ・モーターズは、とんでもないスケールのMTPを持っている。テスラといえば電気自動車(EV)だが、彼らが目指しているのはEVの普及だけではない。その最終目標はゼロエミッション(廃棄物ゼロ)社会への移行であり、「エネルギー革命(サステナブル・エナジー)」を起こそうとしている。EVはその第一歩に過ぎないのだ。

本書では、イーロン・マスクについて「1990年代前半の当時からインターネットとクリーン・エネルギーと宇宙に着目していた」と指摘。米オンライン決済大手の「ペイパル」の前身企業の立ち上げや、宇宙事業を展開する「スペースX」から、彼が見据えていたMTPが見えてくる。

さらに近年では、採掘会社「ボーリングカンパニー」やニューロテクノロジーを開発する「ニューラリンク」の設立から、彼の強烈な未来志向がうかがえる。こうした企業を実際に立ち上げ、実現に動く彼の意志力と実行力が彼を稀代の起業家たらしめている。

■「PDCAサイクル」がイノベーションを妨げていた

イノベーションの源となる「MTP」は日本にも存在していた。近現代における日本の飛躍的な成長はまさにこの「MTP」が原動力であり、特に戦後復興から高度経済成長期の日本の躍進は、アメリカの繁栄という明確な目標世界に臨場感を高くもてたからこそ成し遂げることができたといえる。

ところが今、日本ではイノベーションが起きづらいという声があがっている。その原因として本書があげているのが、「PDCAサイクル」に象徴される改善思考・計画主義である。

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