ようやく家に帰れるのに「不安と恐怖で動けなかった」 津波を経験した女性が語った記憶と、伝えたい「ありがとう」 (2/3ページ)
「1人になった途端に不安と恐怖で動けない」
翌朝、自衛隊の方々のおかげで外へ。津波で押し寄せた大量の車の上に毛布を敷いて、肩まで水に浸かった隊員の方の手を掴んで進んでいき、膝上くらいまで水が引いた道路に出られました。

その後、帰宅する方向ごとに数人でグループ分けされ、泥水で足元が見えないためマンホールへの落下やガレキで怪我をしないよう、自衛隊の方が先頭に立って1列で進みます。
なんとか水が完全に引いた所まで着くと、そこでグループは解散。私は1人になった途端に不安と恐怖で動けなくなってしまいました。
「どの道なら歩けるだろうか家まで何時間かかるのだろうか」
そんなことを考えて立ち尽くす私に声をかけてくれたのは、同じグループにいた一人の男性でした。
彼は私を自宅まで案内してくれて、そこから車で私の家まで送ってくださったんです。
今でも悔やんでいることは...その方の顔も名前も、車もどんなのだったかも思い出せません。どんな会話をしたのかも覚えていなくて、気づいたら家の前に到着し、彼は私を降ろすとすぐに帰っていきました。
たくさんの方が辛い思いをした中で、自衛隊員の方やその男性のおかげで無事に帰って家族と再会できた私は、本当に幸せです。

今でも悔やんでいるのは、不安でパニック状態だったとはいえ、送ってくれた男性にちゃんとお礼ができなかったこと。
やっと自宅に戻れて、他にやらなければいけないこともきっとたくさんあったはずです。