米軍が極秘裏に最新の超音速ミサイルのテスト飛行実験を実施

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米軍が極秘裏に最新の超音速ミサイルのテスト飛行実験を実施
米軍が極秘裏に最新の超音速ミサイルのテスト飛行実験を実施

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image credit:DARPA

 先月、米国がロッキード・マーティン社製の”
超音速ミサイル「Hypersonic Air-breathing Weapon Concept(HAWC)」の極秘実験を行ったことが明らかになった。

 一般に「超音速」とは、マッハ5以上の速度と定義される。

 B-52H爆撃機からの射出実験は成功したが、ロシアとの緊張激化を避けるため、その詳細については公開しないことが決定されたとのことだ。

 HAWC関連の実験は今回初めて明らかにされたが、同ミサイルの実験自体が初めてだったのかどうかは不明だ。またレイセオン社やノースロップ・グラマン社も昨年9月に同様の実験を行なっている。

・マッハ5の超音速ミサイル
 今回の実験では、Hypersonic Air-breathing Weapon Concept(HAWC)はブースターステージによって加速され、吸気スクラムジェットエンジンで長時間マッハ5以上を維持することに成功したという。

 空軍と国防高等研究計画局(DARPA)の説明によれば、ミサイルはロケットブースターで超音速まで加速し、さらにスクラムジェットでマッハ5~10が維持される。

 実験では、HAWCは高度19800メートル以上に達し、300海里を飛行したとのこと。

 DARPA戦術技術局のアンドリュー・ノードラー氏は、プレスリリースで「今回のHAWC飛行実験によって、米軍が戦場を支配するために、適切な能力を競争的に選択できる二次設計が実証された」と述べる。これによってHAWCの技術的成熟度が高まったという。

 まだ実験データの解析が行われている最中だが、将来的に海空両軍に優れた軍事的選択肢がもたらされるだろうことに、ノードラー氏は自信をのぞかせている。

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image credit:DARPA

・1000億円の超音速ミサイル開発契約
 2018年4月、米空軍はDARPAと共同で、HAWCの開発に関する約1000億円の契約をロッキード・マーティン社と締結。

 超音速ミサイルは地上攻撃用だが、同社は海軍に対してもF-35Cステルス戦闘機などに搭載される海上攻撃バージョンを売り込んでいる。

 ロッキード・マーティン社が採用する「スクラムジェット」は、エアロジェット・ロケットダイン社(Aerojet Rocketdyne)が開発したもの。

 以前、ボーイング社がDARPAのために超音速実験機「X-51 Waverider」を開発したが、これに搭載された「Pratt & Whitney Rocketdyne SJY61」をもとに今回のスクラムジェットが開発された可能性がある。

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Boeing's Unmanned Scramjet, the X-51A WaveRider, Achieves Hypersonic Speeds

 他の超音速兵器と同じく、最終的にHAWCが目指すのは、一刻を争う状況で重要なターゲットを迅速かつ捕捉されることなく破壊することだ。

 超音速ミサイルは大気圏内を飛行するので、従来の長距離兵器によりも軌道が予測しにくく、迎撃はいっそう困難なものとなる。

 なおHAWCには弾頭が搭載されず、運動エネルギーでターゲットを破壊する。

 ロッキード・マーティン社は、今回の実験の詳細をほとんど明らかにしておらず、コンセプトアート以上のことは不明だ。

 しかし昨年9月に実験を成功させたレイセオン社とノースロップ・グラマン社も、スクラムジェット・パワープラントを使用したことが判明している。

 当時、DARPAは実験の目的について、「機体統合・発射シーケンス・発射機からの安全な分離・ブースター点火・ブースト・ブースター分離・エンジン点火・巡航」と説明している。

 競合するロッキード・マーティン社による3月の試験も、両者のミサイルに準ずるものだろうと推測できる。

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image credit:RAYTHEON/NORTHROP GRUMMAN

 2020年9月、両試験に先立ち、DARPAは吸気式超音速ミサイルの両試作機が、キャプティブ・キャリー飛行実験に成功したと発表。

 さらにレイセオン社とノースロップ・グラマン社のミサイルには、NASAの依頼で1990年代から2000年代初頭にかけて行われた超音速実験機「X-43A」のプロジェクトなどの知見が活かされていることも判明している。

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NASA B-52Bは、2004年11月に、ペガサスロケットブースターに取り付けられたX-43A超音速研究航空機を搭載して太平洋のテスト範囲を巡航 / image credit:NASA/Carla Thomas・米軍で開発が進められる各種超音速兵器
 HAWCは、さらに高度な空中発射・吸気式超音速兵器の足掛かりであるようだ。たとえば、空軍は独自に吸気式超音速兵器「Hypersonic Attack Cruise Missile(HACM)」を開発している。

 他にも、超音速エンジン技術と再利用可能高速航空機がメインである「Mayhem」(空軍)、対艦超音速ミサイルの開発を目指す「viationweek.com/defense-space/missile-defense-weapons/us-navy-revives-screaming-arrow-hypersonic-cruise-missile" target="_blank" title="" rel="noopener"Screaming Arrow」(海軍)など、米軍には各種空中発射・吸気式超音速兵器の開発プログラムがある。


 一方、空軍が進めるまた別の超音速ミサイル計画「AGM-183A Air-launched Rapid Response Weapon(ARRW)」は難航している。

 ARRWは米国が実戦配備する空中発射・超音速兵器の第一号になると目されていたミサイルで、他の超音速兵器とは少々コンセプトが異なる。

 まずロケットブースターで必要な速度と高度にまで上昇させ、それから動力のない超音速ブースト滑空ビークルを射出。滑空ビークルは大気圏内を飛行することが想定されているが、過去3度の実験はいずれも失敗に終わった。

 当局はしばらくはARRWを続けると述べているが、空軍が要求する2023年度予算にこれに関するものはなく、長期的な展望も定かではない。2022年予算の段階ですら、ミサイル12基の調達計画が打ち切られている。

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image credit:LOCKHEED MARTIN

・ロシアや中国との開発競争
 DARPAの公式発表に先立ち、匿名の国防総省関係者がCNNに対して、HAWCについてほとんど情報が公開されなかったのは、3月にバイデン大統領がEU訪問を控えており慎重になったためだと明かした。

 大統領はNATO同盟軍を訪問し、ポーランドでウクライナの外務相・国防相と会談。またロシアの侵攻を受けて、米国とその同盟国は、ウクライナに対して大量の武器支援を継続している。

 なおNATO勢力圏東部の緊張が、米国のミサイル実験に影響を与えたのは今回が初めてではない。たとえばつい先日も、ロシアとの緊張激化を避けるために、大陸間弾道ミサイル「Minuteman III」の実験が停止されている。

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2020年2月にカリフォルニア州ヴァンデンバーグ空軍基地で行われた以前の非武装のミニットマンIIIICBMテスト / image credit:U.S. Air Force/Senior Airman Clayton Wear

 米国の超音速兵器開発は、ロシアと中国がこの分野で比較的進んでいることが背景にある。

 ロシアは核弾頭搭載可能超音速ミサイル「キンジャール」だけでなく、海軍用の超音速巡航ミサイル「ツィルコン」の大規模な実験を行っているし、中国もまた謎の多い超音速滑空機の開発を進める。

 ロシア国防省はそうした動画も公開している。たとえば下の動画は、2020年10年にフリーゲート艦によるツィルコンの初発射を映したものだという。

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 ただし同開発計画には明らかに大きな遅れが見られたため、実際のミサイルの性能やここ数年における開発の進捗については疑問符がつく。

 いずれにせよ、目下、米軍が各部署と連携しながら超音速ミサイルの開発を進めているのは、まさにこうした競合国の影響によるものだ。

 こうした国と戦争が起きるリスクは、ますます現実的なものになっているのだから尚更だ。

 国防総省が要求する2023年度予算は、7730億ドル(約95兆円)で、そのうち72億8850ドル(約8850億円)が超音速ミサイルといった長距離兵器のためのものだ(だがその一方、超音速兵器の膨大なコストを鑑みて、米軍におけるその位置付けを再考する動きも見られる)。

 米議会は、超音速兵器開発を進めるよう米軍をせっついており、それらはますます最前線に押し出されている。HAWCの実験成功のニュースからは、実際それが急ピッチで進められていることがうかがえる。

References:America’s Latest Hypersonic Cruise Missile Made A Secret Test Flight / written by hiroching / edited by / parumo


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